ピュリスム

ピュリスム（純粋主義）とは

ピュリスム（Purisme, Purism）は、20世紀初頭にフランスで生まれた芸術運動であり、特に絵画の分野において、シャルル＝エドゥアール・ジャヌレ（後のル・コルビュジエ）とアメデエ・オザンファンによって提唱されました。彼らは、1918年の著作『キュビスム以降』や、1920年から1925年にかけて刊行された雑誌『レスプリ・ヌーヴォー』を通じて、その理論と実践を展開しました。

ピュリスムの概要

ピュリスムは、キュビスムが失ったと彼らが考える「一般の関心」を取り戻すことを目指しました。そのため、彼らは瓶、水差し、グラスなど、誰もが日常的に目にする単純なオブジェクトを絵画のモチーフとして選びました。これらのオブジェクトは、その単純さゆえに、ピュリストたちが工業芸術に求めた規格化、純粋化、匿名化といった要素を備えていると考えられました。

キュビスムの禁欲的な色彩とは対照的に、ピュリスムはパステルカラーを用い、表面の平滑さや手触りの滑らかさといった、機械時代にふさわしいと彼らが考える要素を追求しました。

ル・コルビュジエの役割

ル・コルビュジエは、ピュリスム運動において画家として重要な役割を果たしましたが、彼の建築との関係は特に注目に値します。彼の建築は、絵画から直接的に「派生」したわけではありませんが、鉄筋コンクリート構造に依存しつつ、壁や開口部のパターンに絵画における抑制されたエレガンスを反映しています。理論活動において、彼は機械生産物の特質を建築に類比することを強調し、自身の絵画における機械的なオブジェクトの扱いは、彼の美学を洗練させました。

ル・コルビュジエの建築は、ピュリスム絵画の完璧さによって視覚的に組織され、そのプロポーションは、ルネサンス人文主義の建築家たちに近い幾何学装置から導かれています。建物の平滑で平板な表面は、絵画における非・物質性を反映し、パステルカラーに加えて暗い色調を用いることで、特定の壁を際立たせました。また、絵画のモチーフにある曲線が、建築の自由曲線形態にも見られます。

フェルナン・レジェの影響

画家のフェルナン・レジェは、ピュリスムに近いスタイルを持つ重要な人物でした。彼は1910年代末までに、同時代的な機械崇拝を絵画に反映させ、1920年代初頭には、機械形態を人間化するという独自の関心を展開しました。彼の絵画には、単純化された自然の形象とともに人物像が再び登場し、円筒形に様式化された四肢が機械の部品を想起させました。この背景はデ・スティル絵画の長方形配列に類似するものの、より複雑で、フランス的な微妙なニュアンスを持つ色彩が用いられました。

レジェの絵画は、機械的要素を芸術的に用いる際の触媒として、建築家にとって有効な作用を果たしました。彼の作品は、ピュリストの作品における極端な単純化に似ており、また建築的な性格を持っていました。

ピュリスムからの脱却

1920年代中期以降、レジェのスタイルは、機械形態よりも単純な自然形態の強調によって、よりルースで滑らかなものになりました。これに影響を受け、ル・コルビュジエもまた、1920年代後半にはピュリスムの教義から離れていきました。彼の絵画と建築の密接な関係は薄れましたが、彼の絵画は建築形態の補足的な探求となり、人間感情や身体外延的な形態要素がより顕著に表現されるようになりました。

ル・コルビュジエの画家としての活動は、自由造形の実験が美的経験において重要であることを物語っています。第二次世界大戦中の建設活動の制限により、彼の創作欲は絵画にのみ向けられ、その影響が近年の作品にも見られます。

ピュリスムの影響

ピュリスムは、デ・ステイルや抽象絵画にも影響を与え、20世紀の美術運動における重要な位置を占めています。

まとめ

ピュリスムは、ル・コルビュジエとオザンファンによって提唱された、キュビスムの反動としての芸術運動であり、日常的なオブジェクトの単純化と規格化を追求しました。その影響は、絵画だけでなく建築にも及び、現代美術の発展に大きな役割を果たしました。

ピュリスム