アメデエ・オザンファン

アメデエ・オザンファン（1886年4月15日 - 1966年5月4日）は、フランスの画家であり、特にピュリスム運動における中心的な人物として知られています。

生涯

オザンファンは絵画の基礎を学んだ後、パリへと進出し、建築と絵画の両分野を深く探求しました。初期にはキュビスムの影響を受けましたが、後に独自の芸術理論を構築していきます。1915年には、雑誌「L'Elan（飛翔、または突撃）」を創刊し、1917年まで編集に携わり、この時期にピュリスムの理論形成が進められました。

1917年、オザンファンはシャルル＝エドゥアール・ジャンヌレ（後のル・コルビュジエ）と出会い、1918年には共著『キュビスム以降』を発表し、ピュリスムの理念を明確に主張しました。この著作で、両者はキュビスムの複雑さを批判し、より明確で単純な形態と秩序を追求する新たな芸術運動を提唱しました。その後、1920年から1925年にかけて、再びジャンヌレとともに雑誌「レスプリ・ヌーヴォー（新しい精神）」を刊行し、この雑誌を通じてピュリスムの理論と実践を広く発信しました。さらに1925年には、『近代絵画』を共著し、近代美術の動向を分析・評価しました。

1930年頃からは、教育者としての活動に注力し、パリ、ロンドン、ニューヨークなどで美術学校を設立するなど、絵画教育に情熱を注ぎました。オザンファンの教育活動は、ピュリスムの理念を次世代に伝える上で重要な役割を果たしました。

ピュリスムの作品

オザンファンのピュリスム作品は、理論的基盤を重視しているため、しばしば個性が希薄であると評されることがあります。特にジャンヌレとの共同制作においては、両者の作品を区別することが困難な場合もあります。これらの作品では、静物が水平垂直の線に沿って配置され、平面的な表現が強調されていますが、鮮やかな色彩が用いられることも特徴的です。しかし、オザンファンはピュリスムの枠にとどまらず、立体感を残した静物画や、自然の風景を抽象化した作品も制作しました。

日本における紹介

日本においては、オザンファンをまとまった形で紹介する展覧会や文献はほとんど存在せず、その業績は十分に知られているとは言えません。

関連事項

アトリエ・オザンファン：オザンファンのアトリエ兼住宅としてル・コルビュジエによって設計された建物。
ピエール・ジャンヌレ：ル・コルビュジエの従兄弟で、建築家として活躍しました。

日本語訳された著作

『新しき藝術』ジャヌレ 共著、吉川逸治訳、河出書房, 1946
『新しき芸術』ル・コルビュジエ 共著、吉川逸治 訳、(河出新書) 河出書房, 1956
『近代絵画』E.ジャンヌレ 共著、吉川逸治 訳、 (SD選書) 鹿島出版会, 1968、再版1977

外部リンク

Amedee Ozenfant Online)：オザンファンの作品図版を多数閲覧できます。

もう一度検索