ピョートル・バグラチオン

ピョートル・イヴァーノヴィチ・バグラチオンの生涯と業績

ピョートル・イヴァーノヴィチ・バグラチオン（1765年7月10日 - 1812年9月12日）は、ロシア帝国の著名な軍人であり、ナポレオン戦争においてその名を知られる将軍です。彼はグルジアのカルトリ王国のバグラティオニ家の出身で、その血筋は古く、曾祖父はカルトリ国王イェッセです。北カフカースのキジルヤールで誕生し、後に大佐である父イワン・バグラチオンのもとで成長しました。兄のロマン・バグラチオンもロシア軍に仕官し、彼と共に軍歴を重ねました。

軍歴の始まり

1783年にロシア軍に入隊したバグラチオンは、最初アストラハン歩兵連隊に配属され、同年中に軍曹に昇進。次第に昇進し、1788年にはトルコとの戦争に従軍し、大尉まで昇格しました。1791年からはキエフ騎馬猟兵連隊で活動し、1794年にはポーランドに派遣され、アレクサンドル・スヴォーロフ将軍の指導のもとで優れた功績を挙げ、中佐に昇進しました。

戦場での活躍

1799年、少将に昇進したバグラチオンはスヴォーロフと共にイタリアとスイスの戦線に参戦し、特にブレシアを攻略しました。その後、1800年に近衛猟兵大隊長に任命され、1805年には中将に昇進しました。特にホラブルムの戦いでは、敵軍の5倍の人数を相手に戦い、部隊を指揮しながらミハイル・クトゥーゾフの退却を援護しました。

アウステルリッツの戦いでは、フランス軍の左翼に対峙し、この戦いの後も彼は1807年のアイラウとの戦いやフリートラントの戦いで戦闘を指揮しました。さらに1808年にはフィンランド戦争で大胆な戦略を展開し、オーランド諸島を奪取。1809年には露土戦争においてモルダヴィア軍を指揮し、歩兵大将に任命されました。

ボロジノの戦いと死

1812年には西部第2軍の指揮官としてボロジノの戦いに挑みますが、接触した敵軍に致命傷を負い、南ウラルのジーミ村で命を落としました。彼の死後、皇帝ニコライ1世はボロジノの戦場に彼を称える記念碑を建設し、遺骸はその場所に安置されました。バグラチオンの墓は第二次世界大戦中に破壊されましたが、以前の場所に戻され、彼の業績を今も人々に伝えています。

バグラチオン作戦

独ソ戦後半の1944年、ソ連軍の攻勢作戦に「バグラチオン」と名付けられました。この攻勢は成功し、ナチス・ドイツ軍はベラルーシから後退しました。戦後、プロイシッシュ・アイラウという都市はバグラティオノフスクと改名され、バグラチオンの名を刻むことになりました。彼の業績は今日でも広く知れ渡り、記憶され続けています。

バグラチオンは、戦略家としての才能、及び多くの戦闘に参加した勇敢な将軍として、ロシアの軍事史に大きな足跡を残しました。彼の功績は後世に影響を与え、文学の中でも描かれる重要な存在です。

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