ピロ亜硫酸ナトリウム

ピロ亜硫酸ナトリウム：性質、用途、安全性

ピロ亜硫酸ナトリウム (Na₂S₂O₅) は、二亜硫酸ナトリウムやメタ重亜硫酸ナトリウムとも呼ばれる無機化合物です。食品の漂白剤やワインの酸化防止剤、化粧品原料など幅広い用途に使用されていますが、アレルギー反応を引き起こす可能性があるため、その性質や安全性を理解することが重要です。

性質

ピロ亜硫酸ナトリウムは、亜硫酸水素ナトリウムの脱水反応、または亜硫酸ナトリウムに二酸化硫黄を加えることで生成されます。

化学反応式は以下の通りです。

亜硫酸水素ナトリウムの脱水:
2NaHSO₃ → H₂O + Na₂S₂O₅

亜硫酸ナトリウムへの二酸化硫黄付加:
Na₂SO₃ + SO₂ → Na₂S₂O₅

水溶液中では加水分解し、亜硫酸水素ナトリウムを生じます。

Na₂S₂O₅ + H₂O ⇌ 2NaHSO₃

加熱すると分解し、亜硫酸ナトリウムと二酸化硫黄を生成します。

Na₂S₂O₅ → Δ Na₂SO₃ + SO₂

用途

ピロ亜硫酸ナトリウムは、その還元作用を利用して様々な用途に用いられています。

食品添加物: 干しぶどう以外の乾燥果実、かんぴょう、コンニャク、煮豆などの漂白剤として使用されます。ワインの酸化防止剤としても広く用いられています。
化粧品原料: ヘアカラーリング剤の酸化防止剤、サリチル酸製剤などの変色防止剤として使用されます。
* 医薬品: アナフィラキシー治療薬であるアドレナリン製剤の一部にも含まれていますが、ピロ亜硫酸ナトリウムが原因のアナフィラキシーに対しては、アドレナリン投与のメリットがリスクを上回ると考えられています。

安全性

ピロ亜硫酸ナトリウムは、皮膚や目、呼吸器への刺激性があり、摂取すると喘息やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。水生生物に対しても毒性があります。また、還元剤であるため、酸化剤や強酸とは反応します。

ラットへの経口投与における半数致死量（LD50）は、1131～2480mg/kgと報告されています。

接触アレルギーについては、調査によると183名の被験者のうち5.5％が陽性反応を示しました。多くの場合、亜硫酸ナトリウムにも反応を示すため、アレルギーが判明した場合は、亜硫酸ナトリウム全体を避ける必要があります。

結論

ピロ亜硫酸ナトリウムは、その有用性から様々な分野で使用されていますが、アレルギー反応などのリスクも存在します。取り扱う際には、その性質と安全性を十分に理解し、適切な取り扱いと管理を行うことが重要です。 使用者、特に食品や化粧品を扱う事業者や医療従事者は、安全データシートなどを参照し、適切な安全対策を講じる必要があります。また、消費者も製品表示を注意深く確認し、アレルギー症状が出た場合は速やかに医師に相談する必要があります。

もう一度検索