ピンク・パンサーX

ピンク・パンサーX（Trail of the Pink Panther）

概要

『ピンク・パンサーX』は1982年に公開されたイギリス製のコメディ映画で、ピンク・パンサーシリーズの第6作となります。この作品は、シリーズの象徴的なキャラクターであるクルーゾー警部を演じていたピーター・セラーズの追悼作品として制作されました。セラーズは1980年に亡くなりましたが、過去の映像を再構成し、新たな物語を加えて新しい作品として仕上げられています。製作・脚本・監督はブレイク・エドワーズが手がけ、音楽はおなじみのヘンリー・マンシーニが担当しています。日本では劇場公開はされておらず、BSで放映された際には『トレイル・オブ・ザ・ピンクパンサー』というタイトルで知られています。

ストーリー

物語は、中東にあるルガシュという国の博物館から、名高い「ピンク・パンサー」というダイヤモンドが盗まれるところから始まります。この国の首脳は過去にダイヤモンドを取り戻した実績があるパリ警察のジャック・クルーゾー警部に捜査を依頼します。クルーゾーは、怪盗ファントムとして知られるチャールズ・リットン卿が関与していると考え、ロンドンへ向かいます。しかし、そこでなにかの陰謀に巻き込まれ、彼の乗った飛行機は行方不明になってしまいます。

その後、ニュースキャスターのミス・ジュヴェはクルーゾーの行方を追いかける取材を開始します。彼女は、クルーゾーの昔の知人や関係者を訪ね、事件の手がかりを探します。そこで視聴者は、彼の元部下や過去の仲間たちからの回想を通じて、クルーゾーの人物像や彼が巻き込まれた騒動を垣間見ることができます。

特にジュヴェが訪れるリットン卿の家では、彼の妻はクルーゾーの元妻であるという事実が明らかになり、物語にさらなる緊張感を与えます。彼女の証言から、クルーゾーは生きている可能性が示唆され、更なる謎が生まれます。

制作の背景

本作は、ピーター・セラーズが1963年の『ピンクの豹』から1980年の『ピンク・パンサー4』まで、計5作品で演じたクルーゾー警部の魅力を再発見する機会でもあります。未発表の映像を多く使用し、以前のシリーズ作品を振り返ることで、ファンたちには懐かしさと感慨深さが表現されています。特に、未公開映像が多く取り入れられているため、新しい観客にも、過去の作品の魅力が伝わる仕上がりとなっているのです。

キャスト

映画のキャストには、再録によるピーター・セラーズのクルーゾー警部をはじめ、デヴィッド・ニーヴンのリットン卿、ハーバート・ロムのドレフュス主任警部、キャプシーヌのシモーヌ・リットンなどが登場します。また、クルーゾーの父親が登場することもあり、キャラクターの背景がより深く掘り下げられています。このように、多くの懐かしい顔が再登場し、視聴者にとって感慨深い瞬間が続きます。

まとめ

『ピンク・パンサーX』は、単なる総集編ではなく、新たなストーリーが加わることで新しい文脈を生成した作品です。また、クルーゾーの行方は最後まで分からないまま終わりますが、その後の続編『ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ』への期待感を高める要素が巧みに盛り込まれています。彼の無事を信じるファンたちにとって、この作品は特別な意味を持つでしょう。

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