デヴィッド・ニーヴン

デヴィッド・ニーヴン

デヴィッド・ニーヴン（本名：James David Graham Niven、1910年3月1日 - 1983年7月29日）は、イギリス・ロンドンの出身で、特に都市的な紳士役で知られる俳優です。彼はそのしゃれた髭と洗練された雰囲気から「スクリーンの粋の化身」と称されることもありました。ニーヴンの英語での発音は「ニヴン」となります。彼の生涯における数々の出来事を以下に詳述します。

生い立ち

デヴィッド・ニーヴンは、軍人の父ウィリアム・ニーヴンのもと、第一次世界大戦中に父を失った後、ヒーザーダウンやサウスシー、そしてバックスの学校に通いました。ストウ・パブリック・スクールを卒業する際、彼は正規軍の入隊が許可される3人の学生の一人に選ばれます。その後、サンドハースト王立陸軍士官学校を卒業し、ハイランド軽歩兵師団に入隊しましたが、任務に不満を抱き、除隊することとなります。

映画界への道

カナダに渡ったニーヴンは、数々の職を転々とした後、アメリカ合衆国に向かいました。ニューヨークでは、パーティーの給仕やセールスマンなど多岐にわたる職を経験しながら、エキストラ協会にも登録。彼の映画キャリアは、メキシコ人の役を演じるエキストラから始まりました。1934年に監督エドマンド・グールディングと出会い、ハリウッドの著名なプロデューサー、サミュエル・ゴールドウィンに注目され、1935年には映画『過去から来た男』で初めてセリフのある役を果たしました。

映画スターとしての成功

ゴールドウィンとの契約期間中、ニーヴンは「第2のロナルド・コールマン」として活躍しましたが、演技の才能に疑問が持たれるようになりました。第二次世界大戦中は、イギリス陸軍に大佐として従軍し、参加したブリティッシュ・コマンドスでも彼は注目を浴びました。彼はこの時期、ハリウッドで最初に応召されたスターとも言われています。戦後は再びアメリカを拠点にし、そのユーモアセンスと知的な雰囲気で人気を博し続けました。

1952年にはテレビ局フォー・スター・テレビジョン・カンパニーを設立し、1956年にはその権利を1000万ドルで売却。映画の代表作には『八十日間世界一周』での気高い紳士役や、『旅路』でのアカデミー主演男優賞受賞作が含まれます。また、『ピンクの豹』では、ユーモア溢れる怪盗ファントムを演じ、その演技は多くの人に愛されました。

ジェームズ・ボンドへの挑戦

1967年に公開された『007/カジノロワイヤル』では、ニーヴンがジェームズ・ボンドを演じました。これは、原作者イアン・フレミングが彼をモデルにしてボンドを創造したという背景もあり、彼の生い立ちがボンドのキャラクターに影響を与えたとされます。この映画の中で、ニーヴンはフレミングが夢見たボンドの姿を体現しました。彼は文筆家としても成功を収め、自伝や小説を出版してベストセラーを獲得しています。

晩年と家族

晩年のニーヴンは、長期間にわたって闘病生活を送りました。1983年、スイスのシャトー・デーで、筋萎縮性側索硬化症でこの世を去りました。彼の遺作は、映画『ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ』であり、20年ぶりにファントム役を再演しました。

家族に関しては、1940年に結婚した初妻プリムラとの間に2人の息子をもうけましたが、1946年に彼女が事故で亡くなり、その悲劇は彼に影響を残しました。後に1948年にスウェーデン人モデルと再婚し、2人の養女を迎えました。彼の息子たちもそれぞれ俳優や競売人として活動しています。

デヴィッド・ニーヴンは、そのキャリアを通じて映画界に多大な影響を与え、今なお多くの人々に愛される存在であり続けています。

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