ピークトラム

香港の象徴、ピークトラム

ピークトラム（山頂纜車）は、香港を代表するケーブルカーです。香港島の中心部からヴィクトリア・ピークへと続く、全長1.4kmの路線を約10分で結びます。このケーブルカーは、当初は涼しい高地に住むイギリス人のために建設されましたが、現在では美しい夜景で知られる観光名所へのアクセス手段として、国内外から多くの観光客に利用されています。

特徴

ピークトラムの最大の特徴は、そのユニークな構造にあります。一般的にケーブルカーは、勾配に合わせて車両が階段状になることが多いのですが、ピークトラムは勾配が最小5度から最大27度と大きく変動するため、一般鉄道の車両のように長方形をしています。そのため、車内は平坦な床面となっています。ただし、駅停車時の勾配を考慮して、通路には歩幅間隔で凹凸が設けられ、乗降時の安全が確保されています。

また、運行方式も特徴的で、路線の中間地点に対称な行き違い地点がないため、片方の車両が途中駅で乗降扱いをしている間、もう片方の車両は駅間の途中で停車します。座席は、山側が2人掛け、海側が3人掛けと非対称になっており、海側の席からはヴィクトリアハーバーの絶景を望むことができます。窓の上部が開閉する構造で、空調は設置されていません。

歴史

ピークトラムは、1888年5月30日に開業しました。1926年以前は、座席の等級が設けられており、イギリス植民地政府の官員や太平山住民が一等、イギリス軍人や香港警察職員が二等、その他が三等と区別されていました。1921年に香港を訪れた徳川義親侯爵は、一等切符には一人あたり5千円の保険が付いていたと記録しています。

2008年には開業120周年を迎え、長年にわたり香港のランドマークとして親しまれています。

運行形態

現在、ピークトラムは毎日7時30分から23時まで運行されており、15〜20分間隔で運行しています。途中駅は原則として全列車が通過しますが、エレベーターのような操作で乗降が可能です。乗車する場合はホーム上の呼び出しボタン、降車する場合は車内の操作盤で降車駅を指定します。ただし、混雑時には途中駅からの乗車は制限されることがあります。

使用車両

ピークトラムは、時代ごとに異なる車両が使用されてきました。現在の6代目車両は2022年8月27日から運行を開始しました。この車両は、先代の5代目車両よりも大型化され、全長33.8メートル、定員210人を誇ります。山麓側には新たに座席が設けられ、下山時に前面展望を楽しめるようになりました。客室窓も拡大され、より良い展望が提供されます。

5代目車両は1989年から2021年まで運行され、アルミ製の2両編成で全長17.8メートル、定員120人でした。

4代目車両は1959年から1989年まで運行され、定員は72人でした。

チケットと利用

ピークトラムの乗車には、香港の交通系ICカードである「オクトパスカード」が利用可能です。チケットはオンラインや駅で購入できます。

その他の情報

ピークトラムに関する詳しい情報は、公式サイトや関連施設で得ることができます。また、ウィキメディア・コモンズには、ピークトラムに関する写真や動画が掲載されています。

ピークトラムは、香港の歴史と文化を象徴する重要な観光資源であり、訪れる人々に忘れられない体験を提供しています。ぜひ一度、このユニークなケーブルカーに乗って、香港の絶景を堪能してください。

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