ピーター・ユスティノフ

ピーター・アレクサンダー・ユスティノフ: 俳優・作家・人道主義者

ピーター・アレクサンダー・ユスティノフ（1921年4月16日 - 2004年3月28日）は、英国出身のアカデミー賞受賞者であり、俳優、作家、脚本家、劇作家、映画監督として知られています。彼は特に『スパルタカス』（1960年）と『トプカピ』（1964年）での功績により、アカデミー助演男優賞を受賞しました。

幼少期と教育

ユスティノフはロンドンのカムデン区ベルサイズ・パークで生まれました。彼の父親はロシア系ドイツ人であり、母親はフランス、イタリア、エチオピア王室の血を引くロシア人の芸術家でした。この環境から、ユスティノフは多言語を習得し、英語、フランス語、ドイツ語のほかにもイタリア語やロシア語、スペイン語、さらにはトルコ語や現代ギリシア語も流暢に話すことができました。

ウェストミンスター・スクールでの教育を経て、17歳の若さでロンドンのプレイヤーズ・シアターにおいて舞台デビューを果たしました。第二次世界大戦中には一兵卒として陸軍に従軍しつつ、プロパガンダ映画に出演し始めました。この時期、彼は俳優としてだけでなく、脚本の執筆にも取り組んでいました。

舞台と映画での成功

ユスティノフが初めて成功を収めたのは、『The Love of Four Colonels』（1951年）であり、その後自らの戯曲『びっくり大将』でも広く知られるようになります。また、彼は名作『クォ・ヴァディス』での皇帝ネロや『スパルタカス』でのバタイアタス役を演じました。その多才な才能は、エルキュール・ポアロ役としてアガサ・クリスティ作品にも多く登場することにより、特に顕著でした。

彼はまた、脚本家としてだけでなく、映画監督としてもいくつかのプロジェクトに関与し、アーティスティックな才能を広く発揮しました。

受賞歴と認知

ユスティノフは、アカデミー賞助演男優賞を二度受賞したほか、ゴールデングローブ賞やエミー賞も受賞しています。また、1958年にはロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツからベンジャミン・フランクリン・メダルを授与され、英国とアメリカの相互理解の促進に貢献しました。

彼は1952年から1955年にかけてBBCのラジオ・コメディにも出演し、その独特なキャラクターで多くの人々に親しまれました。ユーモアと知識を駆使した彼の話術は、テレビでもお茶の間の人気を博しました。

様々な活動と慈善事業

ユスティノフは、世界的な人道活動にも積極的に参加しました。1969年以降、ユニセフの友好親善大使を務め、その後も国際的な理解を深めるための活動に取り組みました。また、教育にも情熱を注ぎ、ダンディー大学のレクターやダラム大学の総長の役割を果たし、その功績は称えられています。

晩年は世界連邦運動の会長として、人権問題にも関心を持っていました。彼は中国の人権状況についても積極的に発言し、国際的な理解を深める重要な役割を果たしました。

晩年と遺産

1960年代には高い所得税のためにスイスに移住し、2004年に心臓疾患により亡くなりました。その際、国連総長の代理としてユニセフの理事が弔辞を述べ、彼の貢献を称えました。彼の墓石には十字架が刻まれており、世俗的なヒューマニストとしての顔を持ちながらも、人道的な理念に裏打ちされた人生を生きました。

ユスティノフは、その多彩な才能と人道的な活動によって、今なお多くの人々の心の中に生き続けています。

もう一度検索