ピーター・レブソン

ピーター・レブソン：才能と悲劇のアメリカ人F1ドライバー

ピーター・ジェフリー・レブソン(1939年2月27日 - 1974年3月22日)は、アメリカ合衆国出身のレーシングドライバーとして、1960～70年代に活躍しました。彼は、華麗なドライビングテクニックと類まれな才能でF1界に名を馳せましたが、35歳の若さで悲劇的な事故死を遂げた、波乱に満ちた人生を送りました。

裕福な家庭とレーシングへの道

レブソンはニューヨーク市で、マーティンとジュリー・レブソンの息子として生まれました。彼の叔父は、世界的に有名な化粧品会社、レブロン化粧品の創業者チャールズ・レブソンであり、裕福な家庭環境で育ちました。弟のダグラス・レブソンもレーシングドライバーとして活躍しましたが、1967年にデンマークでのF3レース中に事故死しています。この悲劇は、レブソン自身のレース人生にも大きな影を落としました。1973年にはミス・ワールドのマージョリー・ウォレスと婚約していました。

華々しいキャリアの始まりと成長

コーネル大学在学中にレーシングの世界に足を踏み入れたレブソンは、1960年にハワイでレース活動をスタートさせました。1962年には、テディ・メイヤーとその弟ティミー・メイヤーと共にRev-Em Racingチームを結成し、フォーミュラ・ジュニアに参戦します。1963年にはフォーミュラ・ジュニア・ヨーロッパに参戦し、見事優勝を飾りました。同年には、オウルトンパークでの非選手権F1レースにも出場し9位で完走を果たすなど、才能を徐々に開花させていきます。

1964年には、レブソン・レーシングとレグ・パーネルからF1世界選手権に参戦しますが、大きな成果を残せませんでした。その後はアメリカ国内でレース活動を続け、1966年からカナディアン-アメリカン・チャレンジカップ（Can-Am）に参戦、1968年には日本Can-Amで優勝するなど、着実に実力を高めていきました。1969年にはインディ500に初出場し5位入賞という好成績を収めました。

F1での活躍とマクラーレン時代

1970年にはセブリング12時間レースでスティーブ・マックイーンとペアを組み、2位に入賞しました。1971年にはマクラーレンからCan-Amとインディ500に参戦。インディ500ではポールポジションを獲得するも、決勝では2位に終わりました。しかし、同年Can-Amでチャンピオンに輝き、F1アメリカGPではティレルからスポット参戦を果たすなど、F1への道を着実に歩んでいました。

1972年からマクラーレンからF1にフル参戦を開始しました。カナダGPでポールポジションを獲得するなど、その年のF1世界選手権では5位という素晴らしい成績を残しました。1973年にはイギリスGPで、F1初優勝を飾ります。同年カナダGPでは、レース終盤の天候悪化による混乱の中、最終的に優勝が決定しましたが、この年は再び5位でシーズンを終えました。この年限りでマクラーレンを離脱しました。

シャドウへの移籍と悲劇の事故死

1974年、レブソンは地元アメリカのシャドウに移籍し、チームのナンバー1ドライバーとして期待されました。アルゼンチンGPとブラジルGPでは予選で4位と6位に入るなど好調なスタートを切りましたが、決勝ではいずれも序盤リタイヤという結果に終わりました。

そして、南アフリカGP前のテスト走行中、1974年3月22日、南アフリカのキャラミサーキットで悲劇が起きました。フロントサスペンションのトラブルにより、レブソンは高速コーナーでガードレールにクラッシュ、炎上。救助されましたが、間もなく息を引き取りました。35歳の若さでした。弟のダグと共にニューヨークのフェンクリフ墓地に葬られました。彼の死は、モータースポーツ界に衝撃を与えました。

F1歴史に刻まれた偉業とその後

レブソンが優勝した1973年のイギリスGPとカナダGPは、それぞれF1において初めて赤旗中断とセーフティカーが導入されたレースとして歴史に刻まれています。1996年にはアメリカ・モータースポーツ殿堂のスポーツカー部門に選出されました。彼の短いながらも輝かしいレーシングキャリアは、多くのファンに記憶され、今も語り継がれています。彼の才能と勇気、そして悲劇的な最期は、モータースポーツの歴史に永遠に刻まれました。

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