ピーピー諸島

ピーピー諸島：タイ南部の楽園

ピーピー諸島は、タイ王国南部、クラビ県に位置する美しい諸島です。その名はタイ語で「เกาะ พีพี (Koh Phi Phi)」と表記されます。

地理

この諸島は、北側の中心となるピーピー・ドーン島を中心に、ハートクラーン島、バンブー島、モスキート島などの島々が点在しています。南側にはピーピー・レー島があり、サーマー島、マーヤー・ノーク島、ビーダー・ナイ島、ビーダー・ノーク島などが連なります。ピーピー・ドーン島は、元々は二つの石灰岩質の島でしたが、その間が砂州で繋がった独特の地形をしています。これらの島々は石灰岩で形成されており、鍾乳洞や海食洞など、自然が作り出した美しい景観を見ることができます。

住民と文化

島には主にイスラム教徒のタイ族と、シー・ジプシーと呼ばれる人々が暮らしています。タイ人にとってはリゾート地として、外国人観光客にとってはマリンスポーツを楽しむ場所として人気があります。島ではタイ語と英語が主に使われていますが、北欧からの観光客に対応するため、一部の店舗ではスウェーデン語も使用されています。

観光

ピーピー諸島は、元々多くのビーチがある場所の一つに過ぎませんでしたが、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』のロケ地となったことで、世界中から観光客が押し寄せるようになりました。その結果、カオサン通りのように多様な文化が混ざり合う、国際色豊かな場所へと変貌を遂げました。かつて農業を営んでいた島民の多くは、観光業に従事するようになり、収入が増加しました。しかし、同時に物価も上昇し、島の環境にも大きな変化が現れました。

急増する観光客に対応するため、市街地は拡大の一途をたどり、もともと平地の少ない島では山を切り開いて宿泊施設が建設されるようになりました。映画撮影による環境破壊と相まって、島の自然環境は深刻なダメージを受けています。特に、有人島であるピーピー・ドーン島周辺のサンゴ礁は、破壊が著しい状況です。近年では、岩山を利用したロッククライミングやダイビングも人気ですが、サンゴ礁の保護への意識が低いことが問題視されています。

2018年2月、タイ国政府観光庁は、増加する観光客に対応するため、サンゴ礁の保全に乗り出し、マヤ湾内での船の係留を禁止しました。さらに、6月から9月にかけてはマヤ湾自体を閉鎖する措置を発表しました。

地震の影響

2004年、スマトラ島沖地震による津波が島を襲い、日本人を含む多くの犠牲者を出しました。特に、トンサイ湾とロダーラム湾に挟まれた平地部分は壊滅的な被害を受けましたが、島の東部にあるロバーカオ湾などのビーチはほとんど影響を受けませんでした。

アクセス

ピーピー諸島へは、海路のみでアクセスできます。プーケットやクラビから定期便が運航しています。ピーピー・レー島には美しいビーチがありますが、宿泊施設はないため、ピーピー島から船を雇って日帰りで訪れるのが一般的です。ただし、マヤ・ビーチでのキャンプツアーを利用すれば、ピーピー・レー島での宿泊も可能です。

その他

日本の伊豆半島にある「ヒリゾ浜」は、その雰囲気がピーピー諸島に似ていると評されています。船でしかアクセスできないという点も共通しています。


ピーピー諸島は、美しい自然と多様な文化が共存する魅力的な場所です。しかし、観光客の増加に伴う環境破壊も深刻な問題となっています。今後、持続可能な観光を推進し、この美しい自然を守っていくことが求められています。

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