ピープルズ・エルボーは、プロレスラー、ザ・ロックのオリジナル技であり、彼のロック・ボトムと並ぶ、代名詞的な
フィニッシュ・ホールドとして知られています。一見単純なエルボー攻撃ですが、その魅力は、観客を巻き込む大掛かりなパフォーマンスにあります。
技の概要
ザ・ロックは、まず仰向けになった相手の頭の近くに仁王立ちになります。次に、右
肘のサポーターを外して場外に投げ捨て、人差し指を立てた両手を胸の前で交差させるように振ります。そして、両腕を左右に大きく開き、相手の左サイドにあるロープに走り出して、相手の体を飛び越えます。さらに、相手の右サイドにあるロープに向かって走り、相手の側まで戻ってきたところで急停止し、相手の胸板に強烈な
エルボー・ドロップを叩き込みます。
この一連の動作は、非常に大掛かりで、観客を大いに盛り上げます。ザ・ロック自身も、そのパフォーマンス性の高さを自負しており、自身の技を「娯楽スポーツ界最高の美技(The most electrifying move in sports entertainment)」と豪語していました。
技の流れ
1. まず、相手を何らかの技(主にロック・ボトムまたは
スパイン・バスター)でリングの中央付近に仰向けに倒します。
2. 相手の頭側に立ち、足で相手の両手を身体に寄せます。
3.
肘のサポーターを付けている場合は、外して客席に投げます。付けていない場合は、自分の胸を叩くか、両手の親指の先をくっつけて上に上げます。
4. 両手を広げて身体の前で交差する動作を繰り返します。
5. ロープに向かい突進して、はね返る動作を一往復して勢いを付けます。
6. 相手の横に静止して片足を上げて身体を躍動させて
エルボー・ドロップを叩き込みます。
意外なルーツ
ザ・ロック自身も認めているように、ピープルズ・エルボーは、
武藤敬司(グレート・ムタ)のフラッシング・エルボーを参考にして作られました。フラッシング・エルボーは、
武藤敬司が繰り出す、相手の顔面を狙った強烈なエルボー攻撃です。ザ・ロックは、この技のインパクトに着目し、自身流のパフォーマンスを加えることで、ピープルズ・エルボーを完成させました。
主な使用者
ザ・ロック
ミステル・カカオ - マッチョ・エルボーの名称で使用。
SYU - ポルノ・エルボーの名称で使用。
中澤マイケル
まとめ
ピープルズ・エルボーは、単なるエルボー攻撃ではなく、ザ・ロックのエンターテイナーとしての才能が凝縮された、観客を巻き込む必殺技です。
武藤敬司のフラッシング・エルボーを参考にしたという意外なルーツも、この技の魅力をさらに深めています。リングでピープルズ・エルボーが炸裂するたびに、観客は熱狂し、ザ・ロックのパフォーマンスに酔いしれるのです。