ピール派

ピール派について

ピール派（Peelite）は、19世紀中期のイギリスの政治における重要な党派の一つです。この派閥は、1846年に行われた穀物法の廃止を巡る議論を契機に、保守党内で自由貿易を支持する議員によって形成されました。その後、1859年にはホイッグ党や急進派と合流し、自由党を結成することとなります。

歴史的背景

ピール派が誕生したのは、保守党が自由貿易と保護貿易の二つの立場に分かれた結果です。1846年に保守党の第二次ピール内閣が穀物法を撤廃すると、保護貿易を支持するディズレーリやベンティンク卿らから激しい反対を受けて党が分裂しました。この時、自由貿易を支持する議員たちは、「ピール派」と呼ばれる独立した党派を形成するに至ります。

ピール派の政治的立場

ピール派は、政権交代後もホイッグ党の第一次ジョン・ラッセル内閣を支持し、保護貿易派の影響力を削ぐために閣外協力的な立場を取りました。しかし、ピール派は保守的な経済思想を持っていたため、ホイッグ党との連携は必ずしもスムーズではありませんでした。1847年の総選挙では、一定の議席を獲得したものの、その後ピール派所属の議員たちは保守党に戻る動きが見受けられました。

ピール派の指導者たち

1850年にピールが亡くなった後、アバディーン伯爵が新たにピール派を指導することになります。1852年に成立した第一次ダービー伯爵内閣の際、ピール派は野党に身を置きましたが、保守党に対して敵対的な姿勢を貫きました。また、グラッドストンはディズレーリの提案を激しく批判し、政府を倒閣に追い込むなど、ピール派の影響力を示しました。

ピール派の統合と自由党への結成

その後もピール派はホイッグ党と接近し、1859年にはついに自由党を結成する運びとなりました。この新たな党の誕生は、時代の流れと自由貿易の考え方が深まった結果でもあります。自由党としての活動を始めると、すぐに政府に対し影響力を持ち、自由主義的な政策を実現しようとしました。

主要な議員

ピール派には多くの著名な政治家が含まれていました。代表的な人物には、サー・ロバート・ピール、アバディーン伯爵、ウィリアム・グラッドストン、アーガイル公爵、ハーバート男爵などがいます。これらの政治家たちは、ピール派の理念を体現し、イギリスの政治において重要な役割を果たしました。

結論

ピール派は、イギリス政治における自由貿易の推進、保守党の分裂、さらには自由党の結成に寄与した重要な党派でした。その歴史を振り返ることで、19世紀のイギリスにおける政治的動向を理解する手助けとなるでしょう。

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