ファイア (ゲーム&ウオッチ)

『ファイア』は、任天堂が1980年代に発売した携帯型液晶ゲーム機「ゲーム&ウオッチ」シリーズの1つです。1980年7月31日に登場したシルバーシリーズ版と、1981年12月4日に発売されたワイドスクリーン版の2種類が存在します。

ゲーム内容

このゲームの目的は、火災が発生した左側のビルから飛び降りてくる人々を、クッション（担架）で受け止め、バウンドさせて右側に待機している救急車まで送り届けることです。人々は右に弾んでいき、救急車に到達するまでに3回バウンドさせる必要があります。プレイヤーは左右のボタンを操作して救助員を適切な位置に移動させ、人々をキャッチします。受け止めに失敗するとミスとなり、3回ミスするとゲームオーバーになります。

ワイドスクリーン版の変更点

シルバーシリーズ版では、人々を3回バウンドさせて救急車に搬入した時点で1点が加算されます。しかし、ワイドスクリーン版では、バウンドさせるたびに1点が加算されるように変更されました。両バージョンともに最高得点は999点です。

また、ゲームにはGAME AとGAME Bの2種類があり、落下してくる人数と落下速度が異なります。ワイドスクリーン版では、さらに200点または500点に達するとミスが帳消しになる機能が追加されました。GAME Aでは人々は4階からのみ飛び降りてきますが、GAME Bでは3階からも飛び降りてくるため、落下タイミングが変化します。これらの変更により、ゲームバランスが調整され、シルバーシリーズ版に比べて遊びやすさが向上しています。

シルバーシリーズ版とワイドスクリーン版では、建物のデザインや救急車のデザインも大きく異なります。シルバーシリーズ版は白黒2色のみの表示で、ビルや救急車のデザインはシンプルです。人が救急車に飛び込むと、救急車のランプが点滅します。一方、ワイドスクリーン版ではカラーフィルムによる擬似カラー液晶を採用し、救急車のランプの点滅表現は省略されています。ビルのデザインもより細かくなっています。

開発段階では、画面構成が現在とは左右逆になっており、ビルが右側に配置され、人々が左に向かって弾んでいく仕様でした。しかし、液晶パターンを反対に作成してしまったため、テストプレイの結果、特に問題がないと判断されたため、現在の構成で発売されることとなりました。

また、ワイドスクリーン版には青色以外に緑色のモデルが存在するという噂がありますが、これは本体の褪色によるものと考えられており、緑色のモデルの実在については信憑性が低いとされています。

オリジナルとその他の差異

『ファイア』は、他のハードにも移植されていますが、その際にいくつかの変更が見られます。

ゲーム&ウオッチの実機版では、ミス表示に天使のマークが使われています。一方、ゲームボーイ版の『ゲームボーイギャラリー』やニンテンドーDS版の『ワンセグ受信アダプタ DSテレビ』では、従来のミス表示が転落死を連想させるため、×印の絆創膏に変更されています。また、ミス時には落ちた人が怒って退場する演出が追加されています。

ゲームボーイ版『ゲームボーイギャラリー3』に収録された隠しゲームでは、製品版とは左右が逆転しており、右から左に進む（開発段階のバージョンを再現）仕様となっています。

大乱闘スマッシュブラザーズ

2001年発売の『大乱闘スマッシュブラザーズDX』では、ビルから飛び降りる人が「Mr.ゲーム&ウォッチ」という名前のプレイヤーキャラクターとして登場します。また、クッションを持つ救助員も必殺技「ファイア」として登場し、3人揃ってフィギュア化もされています。2008年発売の『大乱闘スマッシュブラザーズX』以降のシリーズ作品でも、Mr.ゲーム&ウォッチの技として引き続き登場し、モチーフの一つとして「ファイア」のゲーム画面が収録されたステージ「フラットゾーン2」や「フラットゾーンX」も登場します。

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