ファイアーエムブレム トラキア776

ファイアーエムブレム トラキア776

『ファイアーエムブレム トラキア776』は、1999年に任天堂から発売されたスーパーファミコン用シミュレーションRPGです。ファイアーエムブレムシリーズの第5作であり、『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』の外伝という位置づけで、前作とは異なる視点から物語が展開されます。

概要

物語の舞台は、『聖戦の系譜』の後半が始まる少し前の時代。レンスター王国の王子リーフを主人公に、祖国再興を目指す戦いが描かれます。前作のシステムから一部変更が加えられ、より戦略性の高いゲームプレイが楽しめるようになりました。

特に特徴的なのが、「疲労」の概念です。ユニットは戦闘や杖の使用によって疲労が蓄積し、疲労が一定値を超えると出撃できなくなります。これにより、ユニットの使いすぎを防ぎ、戦略的なローテーションが重要になります。また、「体格」の概念も導入され、ユニットの捕獲や担ぎ上げといった行動に影響を与えます。敵を捕獲して武器を奪ったり、味方を担いで移動力を補ったりするなど、戦術の幅が広がりました。

開発はインテリジェントシステムズが担当し、ゲームデザインとシナリオはシリーズの生みの親である加賀昭三氏が手掛けました。音楽は辻横由佳氏が担当し、物語を彩る美しいメロディを生み出しています。

発売当初はローソン限定の「DXパック」やニンテンドウパワーでの書き換え販売が中心でしたが、後に通常のロムカセットとしても発売されました。また、バーチャルコンソールでも配信され、Wii、Wii U、Newニンテンドー3DSでプレイ可能です。

ゲーム内容

新規採用された概念

疲労: 戦闘や杖の使用で蓄積。出撃制限に影響。Sドリンクで回復。
体格: 捕獲や担ぎに影響。体格差によって能力が変化。
行動: 行動終了時に確率で再行動が可能。
マップ: 特定地点からの離脱や、一定ターンの防衛など勝利条件が多様化。索敵マップの初登場。

前作からの変更点

戦闘: 攻撃速度による追撃、技による必殺攻撃が復活。武器の3すくみ補正が減少。
スキル: 「ぬすむ」「みきり」の効果が変更。
ステータス: 「魔法防御」が削除され、「魔力」が魔法防御を兼ねる。レベルアップ時に移動力が上昇することがある。
武器: 一部の武器に状態異常効果が付与。風魔法に飛行特効。杖の使用にミスや追撃が発生。武器レベルの概念導入。
兵種: 騎馬・アーマー系は武器でクラス分け、魔法使いは武器で区別されなくなった。
アイテム: 「きずぐすり」がHP全回復に強化。
マップ: 出撃キャラクターの初期配置が固定。

ストーリー

物語は、リーフが15歳になった時から始まります。帝国軍に襲撃されたフィアナ村から、マリータとナンナを救出するため、リーフはマンスターを目指します。しかし、道中で捕らえられ、投獄されてしまいます。セティ率いるマギ団に救出されたリーフは、マンスターから脱出し、エーヴェルの救出を誓います。

その後、リーフはトラキアのハンニバル将軍に保護され、フィアナ義勇軍と合流。ターラの救援に向かいます。ターラ解放後、リーフはレンスター解放を目指し、グスタフ侯爵を破り、祖国を復興させます。しかし、アルスターでの反乱を鎮圧中にドリアス伯爵が戦死。レンスターは再び危機に陥ります。

セリス軍の救援を得て、リーフ軍はマンスター攻略へ。レイドリックを倒し、エーヴェルを救出するため、ロプトの秘密神殿へ向かいます。数々の罠を乗り越え、エーヴェルを救出したリーフは、ベルドを倒し、北トラキア地方を解放します。

評価

『ファミ通』のクロスレビューではプラチナ殿堂を獲得。難易度の高さと戦略性の深さが評価されました。

メディア展開

イラストワークス
ポストカード
TCG
漫画
小説
* サウンドトラック

その他の話題

DXパックには、ゲームソフトの他に、ビデオ、コレクションカード、トラキア半島布製マップ、ピンマーカー、縫いぐるみなどが同梱されていました。

『ファイアーエムブレム トラキア776』は、その独特なゲームシステムと奥深いストーリーで、多くのファンを魅了し続けている作品です。

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