ファイアーエムブレム外伝

『ファイアーエムブレム外伝』は、1992年 3月14日に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ用シミュレーションRPGです。ファイアーエムブレムシリーズの2作目にあたり、前作『暗黒竜と光の剣』とは異なる独特なシステムが特徴です。

概要

物語は前作『暗黒竜と光の剣』の後の世界が舞台ですが、直接的なストーリーの繋がりはありません。男女2人の主人公、アルムとセリカを交互に操作しながらゲームを進めていきます。世界観や年代は共有しており、前作のキャラクターが数名登場します。

本作最大の特徴は、戦略シミュレーションでありながら、RPGのようなワールドマップが存在することです。プレイヤーはマップを自由に移動し、敵と遭遇すると戦闘マップに移行します。また、クラスチェンジを繰り返してキャラクターを強化できるシステムや、特定の敵を倒すと稀に入手できるレアアイテムなど、育成要素も充実しています。

資金の概念がなく、武器に使用回数制限がない、魔法はHPを消費して使用するなど、他のシリーズ作品には見られない独自のシステムも多く存在します。これらのシステムは後のシリーズ作品や、関連スタッフが制作した別作品に影響を与えました。

2017年には、本作のリメイク作品としてニンテンドー3DS専用ソフト『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』が発売されました。

ゲーム内容

ワールドマップ

ゲームは全5章で構成されており、RPGのようなワールドマップを移動しながら物語を進めます。ワールドマップ上では、拠点間を移動し、敵軍団と接触すると戦闘マップに移行します。進撃準備やセーブなどもワールドマップ上で行えます。

ミラの像が祀られている祠など、何度でも戦闘が発生する拠点を利用して、キャラクターを自由に育成できます。戦闘では、退却を選択することで、敵の構成を維持したままワールドマップに戻り、再挑戦できます。ただし、敵の増援がワールドマップ上に現れることもあり、敵から接触されると敵ターンから戦闘が開始されます。

ワールドマップは章を進めるごとに可視範囲が広がり、最終的にはバレンシア大陸の全容が見えるようになります。基本的には前の章の舞台に戻ることも可能ですが、ストーリーの進行によっては戻れなくなる箇所もあります。また、進行を誤るとゲームオーバーになることもあります。

ワールドマップには、村、修道院、神殿などの施設が存在し、通行人との会話で味方ユニットの勧誘や情報収集、アイテム入手などが行えます。一部の施設には「○○の泉」があり、パラメータ強化やユニットの復活が可能です。

本作では、アルムとセリカの2人の主人公が存在し、第3章以降は両軍を交互に進軍させながらゲームを進めていきます。アイテムは旅の商人を通じて受け渡しが可能です。

このシステムは、同シリーズの『聖魔の光石』や、同じ製作者による『ティアリングサーガ』に継承されています。

戦闘システム

従来のシリーズ作品との大きな違いとして、武器に耐久度の概念がないこと、ユニットが常にクラス固有の武器を装備していることが挙げられます。アイテムは各キャラクター1つのみ所持でき、能力値上昇の効果を持ちます。

魔法はレベルに応じて習得し、MPの代わりにHPを消費して使用します。お金や店の概念がなく、アイテムは宝箱や敵のドロップでのみ入手できます。

一部の戦闘マップでは、シリーズ初の「同盟軍」（CPUが操作する味方勢力）が登場します。また、自軍の操作をCPUに任せる簡易指示として、「とつげき」や「みんなあつまれ」が使用可能です。

イージーモード

ゲーム開始時に特定の操作を行うことで、イージーモードを選択できます。イージーモードでは、入手できる経験値が2倍になり、アイテム交換が容易になります。

クラス

『外伝』におけるクラスは、他のFEシリーズとは異なり、クラスチェンジ込みで記載します。クラスチェンジできるレベルはユニットによって異なります。

本作から、経験値が倒した職業による絶対制から、相手とのレベルの相対的差によって変動するシステムになりました。このシステムは『聖戦の系譜』以降で採用されています。そのため、レベルが上がれば上がるほど経験値も入りにくくなっており、最悪レベルが最大に達していないにもかかわらず、経験値が入らないこともありうる。さらに、『暗黒竜と光の剣』同様、クラスチェンジ時の能力上昇は上級職の基本値まで底上げする形で引き上げるシステムとなっている。

ストーリー

バレンシア大陸は、邪神ドーマと大地母神ミラの戦いによって南北に分断されました。北は騎士の国リゲル帝国、南は文化の国ソフィア王国となり、均衡を保っていましたが、リゲル帝国の侵攻によって均衡が崩れます。

ソフィア王国の騎士マイセンに育てられたアルムと、ソフィア王女セリカは、大陸に平和を取り戻すため、それぞれの道を歩み始めます。

世界背景

ソフィア王国

バレンシア大陸の南方を支配する王国。ミラの加護を受けて豊かでしたが、国政の腐敗を招き、リゲル帝国の侵攻を許してしまいます。

リゲル帝国

バレンシア大陸の北方を支配する帝国。ドーマの加護を受けて強力な騎士団を有しますが、飢饉に見舞われ、ソフィア王国への侵攻を開始します。

登場キャラクター

アルム軍

アルム: 本作の主人公の一人。正義感が強く、ソフィア王国解放のために戦います。
ルカ: ソフィア王国の兵士。解放軍に参加を呼びかけます。
グレイ: ラムの村人。アルムと共に解放軍に参加します。
ロビン: ラムの村人。グレイとは親友同士です。
クリフ: ラムの村人。頼りない性格ですが、解放軍に参加します。
シルク: ミラに仕えるシスター。盗賊に捕らえられていました。
クレア: ソフィア王国の天馬騎士。アルムに想いを寄せています。
クレーベ: 解放軍のリーダー。後に軍の指揮をアルムに託します。
フォルス: 解放軍に参加した兵士。クレーベの副官的存在です。
パイソン: 解放軍に参加した弓兵。アジトの入り口にて見張りをしています。
リュート: 森の村に住む青年。リゲル進攻時に妹のデューテをさらわれます。
マチルダ: ソフィアの伝説の女騎士。クレーベの恋人です。
デューテ: リュートの妹。洗脳を受けて魔女になります。
ティータ: リゲル騎士団のシスター。ジークを介抱します。
ジーク: 記憶喪失の騎士。ルドルフに忠誠を誓っています。
マイセン: ソフィア一の勇者と呼ばれた将軍。アルムの育ての親です。

セリカ軍

セリカ: 本作のもう一人の主人公。ソフィア王家の血統を持つ王女です。
メイ: 修道院に仕える魔道士。ボーイとは良きコンビです。
ボーイ: 修道院に仕える魔道士。メイとはよく喧嘩をしています。
ジェニー: セリカと共に修道院に仕えるシスターです。
セーバー: ノーヴァの港で傭兵業を営む男です。
バルボ: 海賊ダッハに家族を殺された戦士です。
カムイ: バルボに雇われた傭兵です。
レオ: バルボを慕う弓兵です。
パオラ: ペガサスナイト3姉妹の長女です。
カチュア: ペガサスナイト3姉妹の次女です。
アトラス: 山村に住む村人です。弟と妹をさらわれます。
ジェシー: エストを助けようとして捕らわれた傭兵です。
ディーン: ギースの部下ですが、ギースのことを嫌っています。
ソニア: ギースの部下ですが、ディーンと同じくギースの事をよく思っていません。
エスト: ペガサスナイト3姉妹の三女です。
ノーマ: ミラ教団の最高司祭です。

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