邪神

邪神とは何か

邪神とは、人間に災厄をもたらす神々や精霊、悪霊などを指します。魔神、悪神といった類義語も用いられます。疫病、天災、戦乱など、人々に不幸をもたらす存在として認識され、世界各地で、それらによる災いを祓うための儀式や祭祀が行われてきました。

各地域における邪神の概念

日本

日本では、神道、仏教、道教、陰陽道などに見られる悪鬼や魔王、悪魔などが、歴史的に邪神とみなされてきました。鬼神なども、邪神・悪神と類似した文脈で用いられることがあります。民間信仰では、疱瘡[[神]]や疫病神のように、疫病をそのまま悪神として祀る例も見られます。しかし、これら荒ぶる神々は、鎮めることで守護神として信仰される場合もあります。

日本[[神話]]においては、『古事記』や『日本書紀』に記述されるように、絶対悪としての邪神は登場しません。「邪神」という語は、従順でない神々、まつろわぬ神々を指す場合が多く、西洋の悪魔のような存在を特定して指すものではありません。例えば、『日本書紀』におけるアマテラスが天岩戸に隠れた際の記述にある「邪神」も、服従しない神々を指していると考えられます。天津甕星や禍津日神なども、災いの神として描かれますが、絶対悪とはみなされていません。

世界

世界各地の神話においては、悪魔や堕[[天使]]と邪神の線引きは曖昧です。ウガリット神話のバアル、ベルゼブブなどは、異教の神として邪神扱いされる例があります。アッカドの風の魔王パズズも邪神と見なされる一方、下位の悪霊から身を守る守護神として信仰される場合もあります。中国などでも、日本と同様に、絶対悪としての邪神は明確に語られていません。北欧[[神話]]のロキも悪神と称されますが、これは東洋の荒ぶる神に近い存在です。

善悪二元論

ゾロアスター教は、善神アフラ・マズダーと絶対悪の悪神アンラ・マンユ（アーリマン）の二元論を特徴とします。アンラ・マンユの配下であるダエーワも邪神とされます。この善悪二元論は、邪神概念を理解する上でわかりやすい例です。バビロニア神話のティアマトや、エジプト[[神話]]のラーに敵対するアポフィスも、善と悪の対立を象徴する存在ですが、アポフィスはアンラ・マンユほど絶対悪としての描写は強くありません。

一[[神教]]

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった一[[神教]]では、神は唯一絶対の存在であり、それに匹敵する邪神は存在しません。サタン（イスラム教ではシャイターン、イブリース）は神に敵対する存在ですが、神と対等な存在ではなく、堕[[天使]]として描かれます。神はサタンを天から追放しましたが、地上で人々を惑わすことを許しています。キリスト教では、地上を支配するサタンを「この世の神」と表現することもあります。

創作における邪神

クトゥルフ[[神話]]などの創作作品では、多くの邪神が登場します。ナイアーラトテップなどがその例です。クトゥルフ[[神話]]の邪神は、厳密な定義はなく、多様な存在が包含されています。

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