ファイユーム

ファイユームは、エジプトの首都カイロから南西へ約130km離れた場所に位置する都市です。肥沃な農地が広がるファイユーム・オアシスにあり、同地域最大の都市として、ファイユーム県の県都としての役割を担っています。

歴史

ファイユーム地方は、ナイル川の支流が流入して形成されたカルーン湖の周辺に位置し、古代から肥沃な農地が広がっていました。このため、エジプト古王国時代から人々の生活が営まれていました。現在のファイユームの町の基礎が築かれたのはエジプト中王国時代で、当時はシェデト（ギリシア語名ではクロコディポリス）と呼ばれていました。中王国時代には、墳墓の地として多くのピラミッドが建設され、現在でもその遺跡を見ることができます。

プトレマイオス朝時代には、この地はアルシノエ県として知られていました。その後、エジプトがローマ帝国の属州となった紀元前後には、「ミイラ肖像画」が製作されるようになり、ファイユームのハワーラやアンティノポリスなどから多数のミイラ肖像画が出土しました。これらの出土品から、ミイラ肖像画は「ファイユームのミイラ肖像画」として総称されることもあります。

現在

現在でも、ファイユームは肥沃な農地と豊富な水に恵まれた地域です。地域内には、水を分配するために使用されていた水車が今もなお残っており、ファイユームの名物となっています。周辺地域で収穫される綿花や小麦などの集散地としての役割も担っており、カイロからの交通の便も良く、ナイル河谷からは鉄道も通じています。

文化的側面

ファイユームは、古代エジプトからローマ時代、そして現代へと続く豊かな歴史と文化を持つ地域です。特にミイラ肖像画は、当時の人々の生活や文化を知る上で重要な資料となっています。また、現在も農業が盛んであり、地域の人々の生活を支える重要な場所となっています。

観光

ファイユームは、古代遺跡、自然景観、そして伝統的な文化が融合した魅力的な観光地です。古代のピラミッドや、ミイラ肖像画が発見された遺跡、そして、カルーン湖や農村地帯を巡るツアーなどが楽しめます。

ファイユームは、歴史と文化、そして自然が調和した、訪れる価値のある場所です。

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