ファイル転送

ファイル転送とは、あるコンピュータシステムから別のコンピュータシステムへ、ネットワークなどの伝送路を通じてファイルを移動させる行為を指します。これは、データの共有やバックアップ、ソフトウェアの配布など、現代のコンピュータ利用において不可欠な機能となっています。ファイル転送は、単にファイルを移動させるだけでなく、その過程でデータの破損や改ざんを防ぐための様々な技術やプロトコルが用いられています。

ファイル転送プロトコル

ファイル転送プロトコルは、2つのコンピュータ間でファイルを安全かつ効率的に転送するための通信規約です。ファイルそのものをビットストリームとして送信するだけでなく、ファイル名、サイズ、タイムスタンプ、さらにはファイルシステムにおけるパーミッションや属性などのメタデータも同時に転送します。これにより、受信側でファイルを正確に再現できます。以下に代表的なファイル転送プロトコルをいくつか紹介します。

File Transfer Protocol (FTP): 古くから利用されているクロスプラットフォーム対応のファイル転送プロトコルです。専用のサーバーを立てることで、大量のファイル転送にも対応できます。
SSH File Transfer Protocol (SFTP): Secure Shell (SSH) を利用して暗号化された通信路でファイル転送を行うプロトコルです。セキュリティが高く、機密性の高いファイルの転送に適しています。
Secure Copy (scp): SSHベースのプロトコルで、安全なファイル転送を提供します。SFTPよりもシンプルな操作でファイル転送を行えます。
Hypertext Transfer Protocol (HTTP): ウェブブラウジングで利用されるプロトコルですが、ファイルのダウンロードにも利用されます。ウェブサーバーからファイルをダウンロードする場合などに利用されています。
BitTorrent, Gnutella: Peer to Peer (P2P) ネットワークを利用した分散型ファイル転送システムです。多数のユーザー間でファイルを共有する際に効率的に利用できます。
IBM Systems Network Architecture (LU 6.2 Connect:Direct, XCOM Data Transport): 大規模システムやエンタープライズ環境で利用されるファイル転送プロトコルです。安定性や信頼性が重視される環境で使われています。
インスタントメッセージやLANメッセンジャー: 多くのインスタントメッセージアプリやLANメッセンジャーには、ファイル転送機能が組み込まれています。手軽にファイルを共有したい場合に便利です。
ダイヤルアップモデム: かつて利用されていたダイヤルアップモデムでは、XMODEM, YMODEM, ZMODEMといったプロトコルがファイル転送に用いられていました。

ファイル転送ツール・ソフトウェア

ファイル転送を行うためのツールやソフトウェアは、その機能や用途に応じていくつかのカテゴリに分類できます。

ファイルマネージャー型: ファイル転送機能に加え、ファイルの移動、コピー、削除、リネームなど、ファイルに対する基本的な操作を統合的に行えるソフトウェアです。代表例として、FFFTPなどが挙げられます。
ファイル便型: ファイルをアップロードした後、ダウンロードページのURLをメールなどで通知することで、受信者がファイルをダウンロードできるようにするサービスです。大容量ファイルの転送に便利ですが、現在はサービスを終了しているものもあります（例: 宅ふぁいる便）。
エンハンス型: ウェブシステムに対して、ファイル転送関連の機能を追加するミドルウェアです。高速ファイル転送機能を追加するOcleBaseなどが代表例です。

関連事項

ファイル転送は、以下の関連技術や概念と密接に関わっています。

ファイル共有: ネットワークを通じて複数のユーザーがファイルを共有する仕組みです。
ファイル転送プロトコルの一覧: 様々なファイル転送プロトコルについて、その特徴や利用分野をまとめたものです。
ファイル共有ソフト: P2Pネットワークなどを利用して、ファイルを共有するためのソフトウェアです。

ファイル転送は、現代のコンピュータ利用において不可欠な機能であり、様々な技術やプロトコル、ツールが開発されています。用途や目的に応じて最適な方法を選択することで、効率的かつ安全なファイル転送を実現することができます。

もう一度検索