Hypertext Transfer Protocol

ハイパーテキスト転送プロトコル（HTTP）詳解

HTTP（Hypertext Transfer Protocol）は、アプリケーション間でリクエストとレスポンスをやり取りする通信プロトコルです。インターネットにおける情報アクセスを支える重要な役割を担っており、World Wide Webの基盤技術として広く利用されています。TCPやQUICといったコネクション型通信プロトコル上に構築され、クライアントからのリクエストに対してサーバーがレスポンスを返すというシンプルなモデルを採用しています。

HTTPのバージョンと歴史

HTTPは、その歴史の中で幾つかのバージョンを経て進化してきました。

HTTP/0.9

最初のバージョンであるHTTP/0.9は、非常にシンプルなプロトコルでした。GETメソッドのみをサポートし、レスポンスはコンテンツのみを返すもので、レスポンスコードやヘッダーは存在しませんでした。

HTTP/1.0

HTTP/1.0では、仕様がRFC（Request for Comments）として文書化され、POSTメソッドなど、複数のメソッドが追加されました。レスポンスにヘッダーとステータスコードが導入され、機能性が大幅に向上しました。

HTTP/1.1

HTTP/1.1は、持続的接続、プロキシサポート、名前ベースバーチャルホストなどの機能が追加された、より洗練されたバージョンです。複数のリクエストを1つの接続で処理することで効率性を向上させました。Hostヘッダーの導入により、1台のサーバーで複数のドメインをホストすることが可能になりました。

HTTP/2

HTTP/2は、非同期接続の多重化、ヘッダー圧縮、リクエストとレスポンスのパイプライン化などの機能強化により、パフォーマンスの大幅な向上を目指して開発されました。SPDYというGoogleが開発したプロトコルの成果を取り入れ、効率的な通信を実現しています。

HTTP/3

HTTP/3は、QUICプロトコルを採用した最新のバージョンです。QUICは、TCPに比べて接続の確立が速く、輻輳制御が効率的なプロトコルです。HTTP/3では、ヘッドオブラインブロッキングの回避や、より高度な多重化処理などが実現されています。

HTTPの動作

通信の開始と接続

HTTP通信は、クライアント（通常はウェブブラウザ）がサーバーにリクエストを送信することで開始されます。HTTP/0.9～HTTP/1.1およびHTTP/2ではTCP接続が用いられ、HTTP/3ではQUIC接続が用いられます。HTTP/1.1以降では、持続的接続がデフォルトとなり、1つの接続で複数のリクエストを処理できるようになりました。

パイプライン

HTTP/1.1以降では、クライアントは前のリクエストのレスポンスを待たずに、次のリクエストを送信することが可能です（パイプライン）。これにより、通信の効率が向上します。

リクエストメソッド

HTTPでは、GET、POST、PUT、DELETE、OPTIONS、HEAD、TRACE、CONNECTなど、様々なリクエストメソッドが定義されています。GETとPOSTが最も頻繁に使用されます。それぞれのメソッドは、サーバーに対して異なる操作を要求します。

サーバーの連携

バーチャルホスト

1台のサーバーで複数のドメインをホストする技術です。HTTP/1.1で導入されたHostヘッダーにより実現され、サーバーのリソースを効率的に利用できます。

リダイレクト

クライアントを別のURLに転送する仕組みです。301 Moved Permanentlyや302 Foundなどのステータスコードによって指示されます。

クッキー

サーバーがクライアントの状態を保持するための仕組みです。セッション管理やユーザー認証などに利用されます。

HTTPメッセージ

HTTPメッセージは、リクエストとレスポンスで構成されます。リクエストはクライアントからサーバーへ、レスポンスはサーバーからクライアントへ送信されます。メッセージは、ヘッダー、ボディ、トレーラーなどの要素で構成されます。

HTTPヘッダーフィールド

ヘッダーフィールドは、リクエストやレスポンスに関する情報を提供します。Accept、Content-Type、User-Agent、Cookieなど、様々なヘッダーフィールドが存在します。

HTTPステータスコード

ステータスコードは、リクエストの結果を示す3桁の数字です。200 OKは成功、404 Not Foundはリソースが見つからないことを示します。

セキュリティ技術

HTTPS

HTTP通信を暗号化することで、通信の安全性を確保する技術です。TLS/SSLプロトコルを用います。

HTTP認証

Basic認証やDigest認証など、クライアントの認証を行うための仕組みです。HTTPSと併用することで、セキュリティが強化されます。

規格と派生プロトコル

HTTPは、IETFによって標準化されています。また、HTTPを基にした様々な拡張プロトコルが存在します。HTTPS、WebDAV、WebSocketなどがその例です。

まとめ

HTTPは、インターネットにおける情報アクセスを支える重要なプロトコルです。その歴史、バージョン、動作、セキュリティ、関連技術を理解することは、ウェブ開発やインターネット技術全般を理解する上で不可欠です。

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