ファガラシュ

ファガラシュ：ルーマニアの歴史を刻む古都

ファガラシュは、ルーマニア中央部のブラショフ県に位置する都市で、ドイツ語やハンガリー語ではフォガラシュとも呼ばれています。オルト川沿いに位置し、2004年の時点で約3万5400人の人口を擁しています。

地名の由来

ファガラシュという地名の由来には諸説あります。ルーマニア語で「砂浜」を意味するfagに由来するという説、1310年頃の要塞建設時に木製の貨幣が支払われた伝説から、ハンガリー語の「木」（fa）と「カネ」（garas）が組み合わさったとする説があります。しかし、地形や位置関係から、スラヴ語で「山」を意味するgoraが有力視されています。

歴史

中世、ファガラシュはアムラシュと共にトランシルヴァニア内のルーマニア飛び地でした。1222年のハンガリー王アンドラーシュ2世の文書には、「フォガラス地方のヴラフ人の地」として記録されています。1241年から1242年のタタール人の侵略後には、トランシルヴァニア・ザクセン人が入植しました。1369年、ラヨシュ1世が家臣のワラキア公ヴラジスラフ1世にファガラシュの荘園を与えてから、1464年までワラキア公が支配しました。

ワラキア公の支配下にあった時代を除き、ファガラシュはハンガリー王の荘園として発展しました。トランシルヴァニア公ベトレン・ガーボルの治世下（1613年 - 1629年）には要塞が再建され、王国南部の経済モデル都市として、「女王の都」ヴェスプレームと同等の価値を持つとされ、トランシルヴァニア公妃が代々居住しました。1658年には、ラーコーツィ・ジェルジ1世の妃、ロラーントフィー・ジュジャンナによってルーマニア人学校が開校されました。公妃の中でも特に有名なのは、孤児であったベトレン・カタ（1700年 - 1759年）で、彼女の遺品は改革派教会に保管されています。

アパフィ・ミハーイ1世の時代には、議会が置かれました。町の教会は1715年から1740年頃に建てられ、1909年に開学したラドゥ・ネグル高校は、当初ハンガリー語の中学校で、バビチ・ミハーイも教鞭をとっていました。

ファガラシュには、「ネグル・ヴォダが要塞を去り、トランシルヴァニアアルプス山脈を越えてワラキア公国を建国した」という伝説が残っています。要塞は12世紀後期には木造でしたが、14世紀に石造りに改築されました。

20世紀に入り、ルーマニアに共産主義体制が成立すると、ファガラシュ城は政治犯収容所として使用されましたが、1989年の体制崩壊後に復元され、現在は博物館と図書館になっています。しかし、革命とその後の改革により地域経済は脆弱化し、イタリア、スペイン、アイルランドなどへ出稼ぎに出る人も少なくありません。

観光スポット

ファガラシュ要塞： 中世の面影を残す壮大な要塞。現在は博物館として公開されています。
ラドゥ・ネグル高校： 歴史ある高校で、美しい建築様式が特徴です。
* 改革派教会、カトリック教会： それぞれ異なる様式を持つ教会で、地域の信仰の中心となっています。

ファガラシュは、歴史と文化が息づく魅力的な都市です。

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