ファグナーノ湖

ファグナーノ湖

ファグナーノ湖（西: Lago Fagnano）は、カミ湖（西: Lago Cami）とも称される、南米大陸の最南端部に広がるフエゴ島にある淡水湖です。この湖は、アルゼンチンとチリの国境線をまたぐように広がっており、両国の重要な自然遺産となっています。特に、その地理的な位置から、特定の規模以上の湖としては「世界最南端」に位置するという際立った特徴を持っています。

地理的特徴

ファグナーノ湖の広さは約645平方キロメートルに及びます。この面積は、地球上の湖の中で500平方キロメートルを超えるものとして、最も南緯に位置するものです。その形状は非常にユニークで、東西におよそ98キロメートルと驚くほど長い一方、南北方向の幅は10キロメートルにも満たない極端な細長さを持っています。この特異な形状は、湖が形成された地質的な背景と深く関連しています。

湖の総延長のうち、大部分はアルゼンチン領内に位置しており、ティエラ・デル・フエゴ州に属する部分が約72.5キロメートルを占めます。これに対し、チリ領であるマガジャネス・イ・デ・ラ・アンタルティカ・チレーナ州に属する部分は約13.5キロメートルと比較的短い範囲に留まっています。湖の深さも特筆すべき点で、最も深い地点では200メートルにも達します。

湖の西端、すなわちチリ領内からは、アソパルド川が水源として流れ出し、この川は最終的に周辺のフィヨルドへと水を運びます。具体的には、アソパルド川はアルミランタスゴ・フィヨルドに向かって流れ込んでいます。

ファグナーノ湖の湖盆は、地質学的な構造運動によって生じた構造性の凹地に位置しており、特に活発なマガジャネス＝ファグナーノ断層に沿って形成されたと考えられています。湖はこの断層活動によって生じた窪地に水が溜まることで発達し、その細長い形状も断層線に沿っていることを示唆しています。

周辺環境とアクセス

ファグナーノ湖の周辺には、人類の活動の痕跡も見られます。アルゼンチン領となる湖の東岸には、トルウインという町が存在します。ここは湖の景観を楽しむための拠点の一つとなっています。

さらに南へ十数キロメートルほど離れた場所には、アルゼンチンのティエラ・デル・フエゴ州の州都であるウシュアイアがあります。ウシュアイアは「世界最南端の都市」の一つとして広く知られており、独特の雰囲気を持つ町です。

ウシュアイアには国際空港があり、この地域への重要な空路の玄関口となっています。ウシュナイア国際空港からは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスや、チリのマガジャネス・イ・デ・ラ・アンタルティカ・チレーナ州都であるプンタ・アレーナスなど、この地域外の主要都市との間に定期航空便が運航されています。これにより、フエゴ島の自然やファグナーノ湖、そしてウシュアイアへのアクセスが容易となっています。

ファグナーノ湖は、その特異な地理的特徴と世界最南端という位置づけに加え、周辺の町や空港といったアクセス網と結びつくことで、フエゴ島の自然環境と人類の活動を結びつける存在として、重要な役割を果たしています。

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