ファット・アクセル

ファット・アクセル (Fat Axl) の歴史

ファット・アクセル、またはファット・アクセル・ローズは、アクセル・ローズの写真を原型としたインターネット・ミームで、2010年にその起源が遡ります。このミームは、主にソーシャルメディアを通じて広まり、やがてファット・アクセルという名称で親しまれるようになりました。この現象を引き起こしたのは、2010年1月13日にカナダのウィニペグで行われたガンズ・アンド・ローゼズのコンサートであり、地元の新聞『ウィニペグ・フリー・プレス』によって翌日報道されました。

発端

ウィニペグ・フリー・プレスの記者ボリス・ミンケヴィッチが撮影した写真は、アクセル・ローズの演奏中の姿を捉えたものです。この写真が載った記事は楽しげな内容でありましたが、翌日、ヘヴィメタル系ニュースサイト「Gauntlet」がこの情報に着目し、タイトルに「OMFG Axl Rose is fat」という衝撃的な文句を用いました。この一文により、元のポジティブな報道とは反対に、アクセル・ローズの体型に焦点を当てた議論がネット上で広がり始めました。

ミームの拡散

この時の写真を基にして、ネットユーザーたちはさまざまなテキストを加えたコラージュやパロディ画像を作成し、SNS上で共有されていきました。特にガンズ・アンド・ローゼズの代表曲の歌詞を巧みに組み合わせたキャプションとともに拡散されたため、あっという間に多くの人々の目に触れることとなりました。これらのミームは、ファット・アクセルという新たなキャラクターを生み出し、特にファンの間で話題となりました。

画像削除要請

しかし、このミームの流行は2016年に大きな転機を迎えます。アクセル・ローズの代理者が、著作権侵害を訴える形でGoogleに対し画像の削除を要求したのです。この要求はデジタルミレニアム著作権法（DMCA）に基づくものであり、ウェッブ・シェリフというイギリスの企業が主体となって行われました。この対応はFacebookやYouTubeなど他のプラットフォームにも広がりました。

この通告の背後には、元の写真の著作権がローズにあるとの主張がありましたが、ウィニペグ・フリー・プレスは、著作権が同社にあるとし、第三者にこの画像を使用することを許諾したことはないと反論しました。これにより、著作権の所属が争点となり、両者の意見は対立しました。

メディアの反応

この削除要請が報じられると、特に『ローリング・ストーン』誌は、このような事案が通常は陰に隠れる形で進められることが多いと指摘しました。そのため、ファット・アクセルという文化現象自体が広く知られることとなり、逆に注目を集める結果となりました。

結論

ファット・アクセルは、著名なアーティストの写真がネットミームとして再生産される過程と、その後の著作権問題という現代のデジタル文化の予期せぬ側面を浮き彫りにした事例です。このミームはしばしば、ストライサンド効果の一例とも考えられています。記憶に残る事象として語り継がれることでしょう。

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