ファミスタアドバンス

『ファミスタアドバンス』は、日本のゲーム開発会社ナムコ（現バンダイナムコエンターテインメント）が、2002年に携帯型ゲーム機ゲームボーイアドバンス向けにリリースした野球ゲームです。

シリーズにおける位置づけ

本作は、長きにわたり親しまれている『プロ野球ファミリースタジアム』シリーズの携帯機向け作品として登場しました。前作にあたる携帯機向け作品『ファミスタ4』から約6年ぶりのリリースとなり、当時の携帯機ゲーム市場で普及が進んでいたゲームボーイアドバンスをプラットフォームに選んだ意欲作と言えます。

ゲームの特徴

ゲームに使用されているデータは、発売された2002年度のプロ野球開幕時のものに基づいています。登場するプロ野球球団はすべて実名で収録されており、当時の実際の選手データでプレイが可能です。ただし、試合を行う球場は、シリーズの伝統的な要素として、ナムコオリジナルの架空球場が三種類用意されています。

ゲームシステムは、同時期に展開されていたナムコの別シリーズ『ワールドスタジアム』のシステムをベースに、ゲームボーイアドバンスの特性に合わせて調整されています。しかし、操作性に関しては、よりシンプルで手軽な従来の『ファミスタ』シリーズに近い感覚が追求されており、携帯機でのプレイに適したバランスが取られています。

試合の進行に応じて表示される恒例の情報画面「ナムコスポーツ」（通称：ナムスポ）も健在です。本作のナムスポは、『ワールドスタジアム』シリーズで馴染みのある新聞形式を踏襲しており、三画面分の情報が切り替え表示される形式となっています。これにより、より多くの試合関連情報やコラムなどを閲覧することが可能です。

ゲームボーイアドバンスの機能の一つである通信機能にも対応しており、通信ケーブルを用いた対人対戦が楽しめます。友人や家族と手軽に白熱した対戦が繰り広げられました。また、後述する特定のモード「ファミスタ盤」においては、1つのゲームカートリッジと本体二台を用いた通信対戦にも対応しており、より手軽に対戦を始められる工夫が施されています。

多彩なゲームモード

本作には、プレイヤーを飽きさせない五つのゲームモードが収録されています。

まず「1戦勝負」モードは、その名の通り一試合だけをプレイする基本モードです。好きな球団と球場を自由に選択して対戦でき、通信対戦もこのモードから開始します。

次に「ペナント」モードは、プロ野球のペナントレースを模した形式でリーグ戦を戦い抜くモードです。最終的なリーグ優勝、そして日本一を目指す本格的なプレイが可能です。試合数は、短期決戦を楽しめる10試合から、実際のプロ野球の年間日程に近い140試合まで、四種類の期間設定が用意されており、プレイスタイルに応じて選択できます。なお、このモードでは、ナムコスターズなどのオリジナルチームは使用できません。

「分身くん」モードでは、プレイヤーオリジナルの選手を作成し、育成することができます。育成した選手はゲーム内の登録システムを通して、他のモードでの使用が可能となり、自分だけのドリームチームを作り上げる楽しみが生まれます。この選手の育成過程には、発売当時人気を博したテレビ番組『ガチンコ！』を彷彿とさせる、教官とのやり取りなどユニークなシナリオ展開が盛り込まれており、ゲームプレイにアクセントを加えています。

「ファミスタ盤」モードは、シリーズならではのユニークなモードです。野球盤のルールを取り入れた独特の対戦形式で、全14球団の中からルーレットで選ばれた三パターンの代表選手を用いて対戦を行います。野球盤特有のルールに従って試合が進行するため、通常のファミスタとは一味違う、手軽ながらも戦略性のあるプレイが楽しめます。このモードのみ、前述の通り1カートリッジ通信対戦に対応しています。

最後に「オプション」モードでは、ゲームの操作方法や難易度、サウンド設定など、様々な項目をプレイヤーの好みに合わせてカスタマイズすることが可能です。これにより、より快適なゲーム環境を整えることができます。

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