ファミリー・ゲーム/双子の天使

ファミリー・ゲーム/双子の天使：現代によみがえった双子の物語

1998年公開のアメリカ映画『ファミリー・ゲーム/双子の天使』（原題:The Parent Trap）は、数々の名作を世に送り出してきたナンシー・マイヤーズ監督による心温まるファミリー映画です。主演は、本作で一躍スターダムにのし上がったリンジー・ローハン。彼女は、幼い頃に両親が離婚し、互いに相手の存在を知らずに育った双子の姉妹を一人二役で見事に演じ分けています。

本作は、1949年に発表されたエーリッヒ・ケストナーの児童文学『ふたりのロッテ』（原題: Das doppelte Lottchen）を原作とし、1961年にヘイリー・ミルズ主演で映画化された『罠にかかったパパとママ』のリメイク作品として制作されました。舞台はアメリカに移され、登場人物の名前や設定も一部変更されていますが、基本的なストーリー展開は原作や前作を踏襲しています。

物語は、サマーキャンプで偶然出会った双子の姉妹、ハリーとアニーの再会から始まります。互いに相手の存在を知らなかった彼女たちは、すぐに意気投合し、離れて暮らす両親を再び一つにしようと画策します。11歳という幼いながらも、巧みな策略を巡らせ、両親の復縁へと導こうとする二人の姿は、見ている者の心を温かく揺さぶります。

1961年版との比較において、いくつかの変更点が挙げられます。まず、双子の年齢が「もうじき14歳」から「11歳」へと引き下げられています。これにより、子供らしい純粋さと、両親の再婚を望む切実さがより強調されています。また、舞台設定も変更され、前作ではボストンとカリフォルニアだった双子の生活圏が、今作ではロンドンとカリフォルニアとなっています。

登場人物にも変更が加えられています。前作に登場した母方の祖母や父の雇う使用人は今作には登場せず、代わりに母方の執事と父方の家政婦が双子の味方として物語を彩ります。さらに、これらの登場人物を軸とした恋愛エピソードも描かれ、物語に深みを与えています。前作で双子の手助けをした使用人の男女が、今作では執事と家政婦に置き換えられている点は注目に値します。

キャスト陣も豪華です。双子の父ニック・パーカー役にはデニス・クエイド、母エリザベス・ジェームス役にはナターシャ・リチャードソンといった実力派俳優が名を連ねています。また、ニックの婚約者で、彼の財産を狙うメレディス・ブレイク役にはエレイン・ヘンドリックス、パーカー家の家政婦チェシー役にはリサ・アン・ウォルターと、脇を固める俳優陣も充実しています。

日本版では、ハリーがアニーの耳にピアスの穴を開けるシーンが削除されています。これは、日本の検閲基準によるものと考えられます。

批評家の評価も高く、Rotten Tomatoesでは51件のレビューのうち86%が高評価で、平均点は10点満点中6.82点と高い評価を得ています。Metacriticでも19件のレビューのうち13件が高評価で、平均点は100点満点中64点とこちらも好意的な評価となっています。

『ファミリー・ゲーム/双子の天使』は、リンジー・ローハンの鮮烈なデビュー作としてだけでなく、家族愛や友情、そして人生の再出発を描いた感動的な物語としても、多くの観客の心を掴んだ作品と言えるでしょう。現代的なアレンジが加えられたリメイクながら、原作や前作の良さをしっかりと受け継ぎ、新たな魅力を放つ、まさに傑作と言える一本です。

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