ファーストラヴ (小説)

作品概要

『ファーストラヴ』は、著者・島本理生による長編ミステリー小説であり、家族の複雑な関係とその光と影を描いています。2016年から2018年にかけて『別册文藝春秋』に連載された後、2018年5月31日に書籍として刊行されました。本作は、第159回直木三十五賞を受賞しており、文学界でも高く評価されています。

あらすじ

物語は、ある女子大学生が父親を刺殺した事件から始まります。この女子大生、聖山環菜は、アナウンサーを目指していた美しい青年で、父・聖山那雄人を殺害後、逮捕されます。彼女は取り調べの際、「自らの行為の動機が理解できない」と述べ、報道では「就活に反対されたから殺したのでは」と推測される中、真壁由紀という臨床心理士が事件の取材を依頼されます。

由紀は、環菜の母が証人として出廷することを知り、義弟である弁護士の庵野迦葉と共に事件の真実を探る旅に出ます。接見を重ねる中で、彼女は環菜の提供する情報に矛盾があることに気づき、家族や周囲の関係を掘り下げることで、事件の真相に迫ります。

登場人物

• - 真壁由紀: 臨床心理士。家庭を持ちながらも、環菜のルポタージュ執筆に取り組む。
• - 聖山環菜: 血縁関係のない父を殺したとして逮捕された女子大学生。メディアで「美人すぎる殺人者」として取り上げられる。
• - 庵野迦葉: 由紀の大学同期であり、環菜の国選弁護人。過去の家庭環境に悩みながら、由紀と共に事件に向き合う。
• - 聖山那雄人: 環菜の父であり、画家として活動していたが、事件により命を落とす。
• - 聖山昭菜: 環菜の母で、娘の裁判で証人として立つ。

メディア展開

この作品は、2020年にテレビドラマ化され、真木よう子が主演を務めました。NHK BSプレミアムで放送され、多くの視聴者に感動を与えました。また、その後2021年には映画化され、北川景子が主演を演じました。映画版は様々な媒体で話題を呼び、特に初日には舞台挨拶が行われ、多くのキャストが登壇しました。

本作では、環菜の家族関係や社会との関わり合いを深く掘り下げ、読者に対して現代社会に潜む家族の問題を考えさせる要素が含まれています。作品を通じて、さまざまな人間ドラマが展開され、心理的な深層にも触れる内容となっています。家族の愛や裏切り、成長、そして葛藤を描いたこの物語は、単なるミステリーではなく、読者に深く考察する機会を与える一冊です。

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