ファールーク1世 (エジプト王)

ファールーク1世 (Farouk I)

ファールーク1世（Fārūq al-Awwal）は、エジプトのムハンマド・アリー朝における第10代君主であり、在位は1936年から1952年にかけてでした。彼は1920年に王族の家庭に生まれ、エジプトを最終的に支配した国王の一人として知られています。彼の生涯は、王位に即刻した後の数え切れないほどの困難と変革に満ちています。

生い立ちと即位

ファールークは、フアード1世とその2番目の妻ナーズリー・サブリーの間に生まれ、幼少期を王宮の中で過ごしました。彼は妹たちを遊び相手として育ち、特に14歳でイギリスのウーリッジ陸軍士官学校に留学した際には、イギリスの影響を色濃く受けます。これは後にエジプトの「傀儡王」に育て上げるための教育の一環でした。

彼の父王が亡くなった1936年に、ファールークは即位しました。彼の統治が始まると、国民は最初の美しい姫との結婚を歓迎しましたが、同時にエジプトにはイギリス軍が駐留し続けており、国の実権はイギリス大使に握られていました。大使はファールークとの関係を軽視し、「あの子」と呼び、次第に軽蔑的な態度を取るようになりました。

第二次世界大戦の影響と反英姿勢

第二次世界大戦勃発後、ドイツ軍の進撃がエジプトに迫ると、ファールークはイギリスに対して強硬な姿勢をとることを決意しました。この時期、彼は反英内閣を樹立しようとしましたが、イギリス大使の脅迫に屈して反対派を首相に据える羽目になりました。この一件は、イギリスに対するエジプト人の反感を高め、ファールークの国民からの支持も急激に低下しました。

1948年には第一次中東戦争に参戦しましたが、軍の準備不足からエジプトは敗北し、彼の威信は失墜しました。この敗北の後、帰国した軍人たちはファールークに反感を抱くようになり、彼はさらなる逆風にさらされました。

クーデターと亡命

1952年、ムハンマド・ナギーブとガマール・アブドゥン＝ナーセル率いる自由将校団がクーデターを起こし、ファールークは王位を追われます。息子のフアード2世が王位を継承しましたが、翌年に廃位され、ムハンマド・アリー朝は終焉を迎えました。ファールークはヨットに財産を積み込み、軍に見送られながら亡命の途に就きました。

人物像と私生活

ファールークは即位時にはハンサムな外見でしたが、暴飲暴食の結果、肥満体となり「腐ったメロン」や「肉風船」と呼ばれるようになります。彼は妻との関係を何度も持ち、その中にはファリダ王妃との結婚や、後のナリマン・サディクとの結婚がありました。特にナリマンとの間には待望の男児が誕生しています。

また、彼はギャンブルに夢中になり、高級車を手に入れては夜のナイトクラブやカジノに通う生活を送っていました。妹のファウズィーヤはイランの皇帝の妻として知られています。

革命時には処刑されることを恐れましたが、最終的には処刑されることがなかったため、安堵していたとされています。1965年、ファールークは亡命先であるヨーロッパで食事中に死去しました。彼の波乱に富んだ生涯は、エジプト近現代史の中で重要な一コマを飾るものとなっています。

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