フアナ2世 (ナバラ女王)

フアナ2世：ナバラ女王、激動の生涯

フアナ2世（1312年1月28日 - 1349年10月6日）は、14世紀のナバラ女王です。フランス王ルイ10世（ナバラ王としてはルイス1世）と最初の王妃マルグリット・ド・ブルゴーニュの長女として生まれました。

王位継承をめぐる複雑な状況

1316年に父ルイ10世が亡くなると、その死後に生まれた異母弟ジャン1世も夭折したため、王位継承権が発生しました。しかし、フアナの王女としての出自に疑義が呈され、サリカ法を根拠に王位から除外されました。その後、叔父であるフィリップ5世、シャルル4世がフランス王位を継承しました。

1328年にシャルル4世が亡くなると、ヴァロワ家のフィリップ6世がフランス王位を継承しましたが、彼はナバラ王家の血を引いていなかったため、フランスとナバラの同君連合は解消されました。フアナは、フランス王位継承権の放棄と、ナバラ王が兼ねていたシャンパーニュ伯領の譲渡と引き換えに、ナバラ王位、アングレーム伯位、モルタン伯位、ロングヴィル伯位を受け取りました。

フアナ自身はフランス王位に就くことはありませんでしたが、子孫であるナバラ王エンリケ3世が1589年にフランス王アンリ4世として即位し、再びフランスとナバラは同君連合となりました。

共同統治と晩年

フアナ2世は、父の従弟にあたる夫フェリペ3世（フィリップ・デヴルー）と共に共同統治を行いました。フェリペはエヴルー伯領を相続しており、夫婦はノルマンディー地方やシャンパーニュ地方など、フランス北部に広大な領地を有していました。1343年にフェリペ3世が亡くなると、フアナは1349年に黒死病で死去し、ナバラ王位とエヴルー伯位は息子カルロス2世が継承しました。

子女

フアナは1318年6月18日にエヴルー伯フィリップ・デヴルー（フェリペ3世）と結婚し、9人の子供をもうけました。

ジャンヌ（1326年頃 - 1387年）: 修道女
マリー（1329年頃 - 1347年）: アラゴン王ペドロ4世の最初の王妃
ルイ（1330年 - 1334年）
ブランシュ（1331年 - 1398年）: フランス王フィリップ6世の2番目の王妃
シャルル（1332年 - 1387年）: ナバラ王およびエヴルー伯
アニェス（1334年 - 1396年）: フォワ伯ガストン3世と結婚
フィリップ（1336年 - 1363年）: ロングヴィル伯、ヨランド・ド・ダンピエールと結婚
ルイ（1341年 - 1372年）: ボーモン＝ル＝ロジェ伯、ドゥラッツォ公。マリア・ド・リザラズと結婚、ドゥラッツォ女公ジョヴァンナと結婚
* ジャンヌ（1342年以降 - 1403年）: ロアン子爵ジャン1世と結婚

フアナ2世の生涯は、王位継承をめぐる複雑な政治状況と、黒死病という当時の社会を揺るがす出来事に翻弄されながらも、ナバラ女王として国を統治し、子孫にその血統を受け継がせた、激動の時代を生き抜いた女性の物語と言えるでしょう。

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