フアン・コルデロ

フアン・コルデロの生涯と作品

フアン・コルデロ（Juan Cordero）は、1822年5月16日にメキシコのテシウトランで生まれた。彼の父はスペイン人の行商人、母はメキシコ人であり、コルデロは幼少期から父親と一緒に各地を訪れ、商売に従事していた。コルデロの絵の才能は早くから認められ、父親は彼をメキシコシティにあるアカデミア・デ・サン・カルロスという美術学校に入学させる。この美術学校は当時のメキシコにおける重要な芸術教育機関で、コルデロはここで基礎を学んだ。

1844年、コルデロはさらなる修行を求めてローマへ渡り、アカデミア・ディ・サン・ルカに入学した。ローマでは、スペイン人画家のペレグリ・クラーベの指導を受けるとともに、ナザレ派やアカデミック美術の影響を受けた。この時期、彼は政治家アナスタシオ・ブスタマンテとのつながりを得ると、1853年までローマで活動し、多くの作品を制作した。

メキシコに戻ったコルデロは、サン・カルロス・アカデミーで exhibition を開き、多くの賛辞を浴びる。また、1860年にはアカデミーの校長職を巡ってクラーベと競争を繰り広げた。デステリノンの政治的背景が影響し、結局校長職はクラーベに引き継がれることとなる。

1860年から1867年にかけて、コルデロはメキシコ各地を旅しながら肖像画家として活動した。特に1845年の地震で損傷したIglesia de Santa Teresa la Antiguaの壁画を手掛けるなど、宗教的なテーマにも取り組んだ。その後、彼は1874年に友人のガビノ・バレダの学校、Escuela Nacional Preparatoriaにおいて、後のメキシコ壁画運動の先駆けとも言える壁画を描いたが、1900年にこの壁画は取り壊されてしまった。

1876年以降、ポルフィリオ・ディアスが大統領となると、コルデロの活動は停滞し、展覧会への出展も行わなくなった。政治的な理由が影響したものと考えられる。1884年、コルデロはメキシコシティでその生涯を終えた。彼の作品は後のメキシコ美術に多大な影響を及ぼし、特に彼自身が触れた古典主義のスタイルは今も多くの人々に評価され続けている。

作品と影響

コルデロの作品は、古典主義の影響を色濃く反映しており、特に肖像画においてその技術は高く評価されている。彼が描いた作品は、詳細な描写や色使いが特徴であり、観る者に強い印象を与える。また、彼の壁画もその後のメキシコ壁画運動の一端を担う重要な制作物と見なされている。

彼の作品は、学びの場であるサン・カルロス・アカデミーで引き続き展示され、次世代のアーティストたちにインスピレーションを与え続けている。コルデロ自らが担った教育的役割も忘れてはならず、彼はメキシコの美術界において重要な人物の一人と言えるだろう。

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