フアン1世 (アラゴン王)

フアン1世：文化を愛したアラゴンの王

フアン1世（1350年 - 1396年）は、14世紀後半のアラゴン王、バレンシア王、バルセロナ伯として知られています。その治世は、文化の振興と王室の財政難という二つの側面から特徴づけられます。彼は「狩人王」や「不真面目王」とも呼ばれました。

生涯

フアン1世は、父であるペドロ4世との関係に苦しみ、結婚や再婚をめぐって対立しました。彼は芸術や芸能を愛好し、文化の発展に大きく貢献しましたが、政治面では妃であるビオランテとその寵臣らに実権を委ねていました。その結果、家臣たちの不満が高まり、浪費によって王室は深刻な財政難に陥りました。

1396年、フアン1世は狩猟中に不慮の死を遂げました。しかし、当時の王室は財政難のため、王にふさわしい棺を用意することができなかったと伝えられています。男子の後継者がいなかったため、王位は彼の弟であるマルティン1世が継承することになりました。

子女

フアン1世は、二人の妻との間に多くの子をもうけましたが、男子は全て夭逝しました。

最初の妃であるマルタ（アルマニャック伯ジャン1世の娘）との間には、以下の5人の子女がいました。

ハイメ（1374年）
フアナ（1375年 - 1407年）：フォワ伯マチューと結婚
フアン（1376年）
アルフォンソ（1377年）
レオノール（1378年）

2番目の妃であるビオランテ（バル公ロベール1世の娘）との間には、以下の7人の子女がいました。

ハイメ（1382年 - 1388年）
ビオランテ（1384年 - 1442年）：アンジュー公ルイ2世と結婚
フェルナンド（1389年）
アントニア（1391年 - 1392年）
レオノール（1393年）
ペドロ（1394年）
フアナ（1396年）

まとめ

フアン1世は、文化の振興に貢献しながらも、政治的な手腕や財政管理においては課題を抱えていた王でした。彼の治世は、文化的な繁栄と王室の財政難という対照的な側面を示しており、後世に様々な教訓を残しています。

参考文献：
田澤耕 『物語 カタルーニャの歴史』 中央公論新社、2000年

関連項目：
アラゴン君主一覧

もう一度検索