アルマニャック

アルマニャック：ガスコーニュ地方の歴史と蒸留酒

アルマニャックは、フランスのガスコーニュ地方の一部を占める古い地域名であり、現在のジェール県とランド県東部にまたがっています。この地域はガロ＝ローマ時代に遡る歴史を持ち、その中心都市はオーシュです。

地理

アルマニャック地方は、Baïse川の谷を中心に、オーズとオーシュを結ぶ軸に沿って広がっています。地域は主に以下の3つの区分に分けられます。

オータルマニャック（アルマニャック・ブラン）：石灰岩質の土壌が特徴で、トウモロコシ栽培とブドウ栽培が盛んです。
バ＝ザルマニャック（アルマニャック・ノワール）：ドゥーズ川とミドー川に近く、最高級アルマニャックの産地として知られています。
* テナレーズ：コンドンの北西部に位置します。

これらの地域に加えて、フェザンサックもアルマニャックの一部として認識されることがあります。

地質

アルマニャックの地質は、中新世中期（約1600万年前から1100万年前）に形成されました。当時、大西洋がアキテーヌ盆地を浸食し、現在のバ＝ザルマニャックが形成されました。中新世の海が残したサーブル・フォーヴと呼ばれる砂質の土壌が、この地域の特性を決定づけています。また、内陸部にはモラスと呼ばれる砂岩と頁岩の地層が広く分布しています。

特にアルマニャック・ノワールは、硬質で酸性の粘土質の土壌が、プラムのような芳香を持つ最高級アルマニャックを生み出します。テナレーズの土壌も酸性の粘土質であり、ここで生産されるブランデーは熟成が進みやすく、スミレに似た芳香が特徴です。

歴史

アルマニャックの歴史は古代に遡り、エリンベルム（現在のオーシュ）のアウシル族やエルサ（現在のオーズ）のエルサテス族といったアクイタニアの部族がこの地に居住していました。その後、この地域はガスコーニュ公領の一部であるフェザンサック伯領となりました。

960年、ベルナール1世が初代アルマニャック伯に任命され、アルマニャック家が始まりました。彼の後を継いだジェロー1世、ベルナール2世と続き、1040年から1052年にはベルナール2世がガスコーニュ公位を継承したため、伯領は一時的に公領となりました。ベルナール2世の孫であるジェロー3世は、1140年以降にフェザンサック伯領とアルマニャック伯領を統合しました。1163年には、この家系からフェゼンサゲ伯領が分離しました。

1245年にアルマニャック伯家の男系が途絶えると、初代フェゼンサゲ伯ロジェの息子であるジェローがアルマニャック伯ジェロー6世となりました。しかし、1285年にジェロー6世が死去すると、再び2つの伯領は分離しました。その後、ジェロー6世の孫であるジャン1世（1311年 - 1373年）とその子孫が、ロデーズ伯領、カルラ伯領、ロマニュ伯領、オーヴィラール伯領、コマンジュ伯領、シャロレ伯領をアルマニャック伯領に併合しました。

アルマニャック伯領は、ジャン2世、ジャン3世と受け継がれました。ジャン3世の死後、弟のベルナール7世が伯位を継承し、彼は百年戦争中のアルマニャック派とブルゴーニュ派の内戦でアルマニャック派の指導者となりました。1473年には、フランス王ルイ11世の敵であったジャン5世が死去しました。1481年、アルマニャック伯領はフランス王領に統合されましたが、シャルル8世は伯領をジャン5世の弟であるシャルル1世に返還しました。

シャルル1世の後継者として、シャルル・ダランソン、次いでアンリ・ダルブレが伯位を継承しました。アンリ・ダルブレとマルグリットの娘であるジャンヌ・ダルブレがアルマニャック伯領を相続し、その息子であるアンリ4世がフランス王位に就いたことで、1589年にアルマニャックは再び王領となりました。

1645年、ルイ14世はアルマニャック伯の称号をアルクール伯アンリ・ド・ロレーヌに授け、この家系がフランス革命までアルマニャック伯の称号を保持しました。

アルマニャックは、その豊かな歴史と独特の地理的・地質的条件が、世界的に有名な蒸留酒を生み出す基盤となっています。

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