フィウメ (重巡洋艦)

フィウメ (Fiume) の概要

フィウメは1931年11月に完成した、イタリア海軍の重巡洋艦である。艦名は、当時イタリア領だったフューメ（現・クロアチアのリエカ）に由来する。フューメは、ザラ級重巡洋艦の2番艦にあたり、歴史的な海戦を経験し、最終的には1941年のマタパン岬沖海戦で沈没した。

建造と艦歴

フィウメはトリエステのアドリアチコ造船所で建造され、1929年4月29日に起工、1930年4月27日に進水し、1931年11月23日に正式に竣工した。艦の竣工時には、当時のイタリア首相であるベニート・ムッソリーニが艦を視察に訪れたことでも知られる。

進水後、フィウメはスペイン内戦においても活発に活動し、次にはアルバニア侵攻に参加。その後、第二次世界大戦が勃発すると、1940年にイギリスとフランスに対して宣戦布告を行った。

1940年7月には、イタリア艦隊がカラブリア沖でイギリス海軍の地中海艦隊と交戦した。この戦闘でイタリア艦隊は壮絶な戦いを強いられた。さらに、1940年11月のタラント空襲では、イタリア海軍の主力戦艦が大きな損害を受けはしたが、フィウメとザラは無事だった。

マタパン岬沖海戦

1941年3月、フィウメは再び戦いの場に立たされることになる。この月の28日、イギリス海軍の戦艦ウォースパイトとヴァリアントが指揮する艦隊との接触が起きた。この海戦はマタパン岬沖海戦として知られ、その内容はイタリア海軍に多大な損害をもたらした。

フィウメは、他の艦艇とともに出撃したが、戦闘が激しくなるにつれて状況は不利に進展する。戦闘中、イギリス艦隊の航空機がフィウメやその所属艦に魚雷攻撃を仕掛けた。この際、ポーラ艦が損傷し、フィウメはその救援に向った。しかし、英艦隊の猛反撃を受けた。

夜間の接触で、ウォースパイトを旗艦とするイギリス艦隊は、フィウメに向けて激しい砲撃を行った。砲弾が艦の側面に命中し、火災が発生した。最終的には艦が戦闘不能となり、艦体は沈んでいった。

沈没とその後

フィウメは、戦闘により大きな損害を受けた後、漂流し始め、まもなく沈没の運命を迎えた。生存者の中には、イタリア海軍の病院船によって救助された者もいる。この戦闘では、フィウメを含むザラ級重巡船が全滅し、イタリア海軍にとって痛手となった。

フィウメはその歴史の中で、第一次世界大戦後のイタリアにおける海軍力の象徴であり、特に第二次世界大戦の激闘を経験した艦艇の一つだった。その形跡は、地中海における艦隊戦の重要性を語り継ぐ記録として、今も多くの人々に記憶され続けている。

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