フィフスペトル

フィフスペトル：華麗なる競走生活と悲劇の幕切れ

2006年5月22日生まれの競走馬、フィフスペトル（Fifth Petal）。その名は、母馬ライラックレーンの名にちなみ「5枚目の花びら」を意味します。競走馬としての短い生涯は、鮮やかな勝利と惜別の物語で彩られていました。

デビューは2008年7月12日、函館競馬場の新馬戦。見事1着で華々しいスタートを切ります。続く函館2歳ステークスでは、最後の直線でナムラミーティアを交わし、2馬身半差という圧倒的な強さで重賞初制覇を成し遂げました。この勝利は、鞍上の三浦皇成騎手にとっても、そしてフィフスペトルの父であるキングカメハメハにとっても、重賞初勝利という記念すべき出来事となりました。3つの「初」が重なった、忘れられない瞬間でした。

その後、京王杯2歳ステークスで2着に入るなど活躍を見せ、朝日杯フューチュリティステークスではセイウンワンダーに惜しくもアタマ差で敗れ2着。将来への大きな期待を背負って3歳シーズンを迎えます。

しかし、3歳シーズンは波乱の連続でした。弥生賞への出走が予定されていましたが、最終的に回避。「馬に負荷をかけられなかった」という理由が発表されました。その後、スプリングステークスで3着に入るも、皐月賞では7着と振るわず。NHKマイルカップ、東京優駿と続くG1レースでも思うような結果を残せず、秋のスワンステークス、マイルチャンピオンシップも6着以下に終わりました。

それでも、フィフスペトルは諦めませんでした。12月のファイナルステークスで2着に入ると、4歳初戦の東風ステークスで勝利を収めます。しかし、続くダービー卿チャレンジトロフィーでは4着に終わり、2010年中はレースから遠ざかります。

2011年3月、戦列復帰を果たしたフィフスペトルは、復帰3戦目の夏至ステークスで見事逃げ切り勝ち。そして、次戦の京成杯オータムハンデキャップでは、アプリコットフィズとの激しい競り合いを制し、3年ぶりの重賞制覇を達成しました。11月のマイルチャンピオンシップではエイシンアポロンに次ぐ2着と健闘を見せますが、2012年以降は思うような結果が出せず、9戦して5着以内に入ることは一度だけでした。

そして2013年5月30日、安田記念へ向けた調教中に悲劇が起こります。左第一趾骨粉砕骨折および左第三中足骨複骨折という重傷を負い、予後不良と診断されました。多くの関係者の涙を誘いながら、フィフスペトルは安楽死の処置がとられました。

短いながらも輝かしい競走生活を送ったフィフスペトル。その勇姿は、多くのファンにとって忘れられない記憶として、これからも語り継がれていくことでしょう。函館2歳ステークス、京成杯オータムハンデキャップでの勝利、そして惜しまれつつも幕を閉じたその生涯は、競走馬フィフスペトルの物語として、競馬史に刻み込まれたのです。

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