フィリップスブルク包囲戦 (1676年)

フィリップスブルク包囲戦（1676年）

フィリップスブルク包囲戦は、仏蘭戦争中の1676年に、神聖ローマ帝国軍がフランスの要塞都市フィリップスブルクを包囲した戦いです。この戦いは、当時のヨーロッパにおける勢力均衡を大きく左右する重要な出来事でした。

背景

フィリップスブルクは、1644年以降ブライザッハと共にフランスの支配下にありました。ライン川東岸におけるフランスの唯一の橋頭堡として、セバスティアン・ル・プレストル・ド・ヴォーバンによって強固に要塞化されていました。そのため、神聖ローマ帝国にとって、フィリップスブルクは常にフランス軍の脅威であり、三十年戦争の際にはプファルツ選帝侯領やネッカー川流域への侵攻経路となりました。近隣のキスラウ、シュヴェツィンゲン、ブルッフザールに駐留していた帝国軍は、1676年春に壊滅し、帝国はフィリップスブルクを直接包囲することを決定しました。

包囲戦の経過

1676年5月1日、ロレーヌ公シャルル5世は4万の軍勢を率いてフィリップスブルクの包囲を開始しました。対するフランス軍の守備隊はトリーア・デュ・フェに率いられ、わずか2,800人でした。フランスからの援軍も期待できない状況下、デュ・フェは徹底抗戦を続けましたが、兵力差は歴然としていました。

数ヶ月にわたる包囲戦の間、帝国軍はフィリップスブルクの要塞に対して激しい砲撃を加え、徐々に守備隊を追い詰めていきました。フランス軍は勇敢に抵抗しましたが、物資の不足や兵士の疲弊により、次第に抵抗力を失っていきました。

9月17日、ついにデュ・フェは降伏を決意しました。降伏時の守備兵はわずか1,500人にまで減少していました。降伏に際し、守備兵は名誉をもって退去することを許され、代わりに帝国軍3,000人がフィリップスブルクに駐留しました。

その後

フィリップスブルクは、この包囲戦によって神聖ローマ帝国の手に戻りました。その後、1688年の包囲戦でフランス軍に再び占領されるまで、帝国の支配下に置かれることになります。この戦いは、フランスの勢力拡大を一時的に食い止め、神聖ローマ帝国の威信を回復する上で重要な役割を果たしました。

フィリップスブルク包囲戦は、17世紀のヨーロッパにおける軍事戦略や政治情勢を理解する上で欠かせない戦いの一つと言えるでしょう。

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