フィリップ王戦争

フィリップ王戦争

フィリップ王戦争（英: King Philip's War）は、1675年6月から1676年8月にかけて、アメリカのニューイングランド地域で起こった先住民とイギリス白人入植者の間の武力衝突を指します。この戦争は、ニューイングランドの最北端で展開され、最終的に1678年にキャスコ湾条約が結ばれて講和に至りました。

戦争の背景

イギリスの入植者たちは、「ニューイングランド」と名付けた土地で、ワンパノアグ族からの保護を受け、彼らの助けを借りて厳しい環境を乗り越えました。しかし、入植者の数が増加するにつれて、先住民の土地に対する要求が高まり、彼らの文化や権利を無視する形で縄張りを拡大し始めました。先住民にとって、土地はコミュニティの共有資産であり、個人の所有物ではありませんでした。これに対する入植者の排他的な要求が、先住民との関係を悪化させました。

特に、ワンパノアグ族の酋長マサソイトが亡くなると、状況はさらに悪化しました。その後、彼の息子ワムスッタが彼の後を継ぎましたが、ワムスッタも入植者との交渉中に死亡します。新酋長メタコメット（メタコム）は、友好関係を維持しようと努力しましたが、入植者の要求は更に厳しくなり、1671年の条約を無視する形で、銃の提出を強要されるなど、信頼関係が崩れていきました。

戦闘の勃発

1675年6月、ワンパノアグ族とその同盟部族は、入植者による不当な扱いに対抗するために戦争の準備を始めました。先住民側の人物であるジョン・ササモンが入植者に対してメタコメットの動きを通報したことで、緊張が高まりました。これを受けて、先住民の襲撃がマサチューセッツ、ロードアイランド、コネチカット、メインで展開され、入植者側も激しい報復行動に出ました。

入植者たちは、これまでにない人数の民兵を召集し、1675年11月にはナラガンセット地域を攻撃しました。この攻撃は大きな戦闘となり、多くの先住民の死者をもたらしました。1676年には、先住民側が52の集落を占拠し、さらに12の町を完全に壊滅させましたが、入植者側も反撃を開始し、ついには戦争は終息へと向かいます。

結末

戦争は1676年8月にメタコメットが民兵に捕えられ、殺害されることによって終結しました。これにより、ワンパノアグ族は完全に敗北し、その後の彼らは大きな苦難に見舞われました。入植者はワンパノアグ族の土地を奪い、数千人が奴隷として売られることになりました。また、戦争の後、経済は深刻な影響を受け、ニューイングランドの共同体は多数の人材を失い、数多くの町が戦禍に見舞われました。

戦争の影響

フィリップ王戦争は、アメリカの歴史の中で非常に重要な出来事でした。この戦争によって、多くの白人入植者は自らの力で敵に立ち向かう秘訣を学び、独立の意識が芽生え始めました。彼らは次第に本国イギリスからの支援なしでも自立して生きていけるという自信を得る契機となったのです。この戦争は、アメリカにおける先住民と植民者の複雑な関係の象徴でもあります。

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