フィリップ3世 (ブルゴーニュ公)

フィリップ3世（Philippe III）

フィリップ3世は、1396年7月31日から1467年6月15日まで生きたブルゴーニュ公であり、「善良公」として知られています。彼はブルゴーニュ公国、ブラバント公国、エノー伯、ホラント伯、ゼーラント伯、そしてルクセンブルク公としてもその名を馳せ、アングロ・ブルギニョン同盟の形成を通じて百年戦争の行方に大きな影響を与えました。彼の外交手腕と戦略は、イングランドとフランスの緊張関係の中で重要な役割を果たし、歴史に名を残しています。

生涯と早期の経歴

フィリップ3世は、名門ヴァロワ＝ブルゴーニュ家の出身であり、父はフィリップ2世（豪胆公）、母はバイエルンのアルブレヒト1世の娘マルグリット・ド・バヴィエールです。彼は1403年にフランス王シャルル6世の娘ミシェル・ド・フランスと婚約し、1415年に結婚しましたが、ミシェルは1422年に他界しました。母国フランスの政治情勢や戦争の影響を受けながら成長し、1419年に父がアルマニャック派によって殺害された時、彼はブルゴーニュ公としての人生を歩み始めました。

フィリップ3世は父の仇敵であるアルマニャック派と争うために、イングランド王ヘンリー5世と同盟関係を結びます。この同盟は、ブルゴーニュの領土を拡張し、イングランド軍の支援を受ける一方で、フランスへの圧力を強化する目的もありました。しかし、時が経つにつれ、彼はフランス側への接近を図るようになり、従来のイングランドとの关系を見直すことになりました。

百年戦争の舞台裏

フィリップ3世の時代、百年戦争は続いており、彼はイングランドとフランスの緊張関係に直接関与していました。彼の治世初期には、イングランドが優位に立っていましたが、彼は独自の領土拡大政策を進めていました。特に、ネーデルラント地域において影響力を強め、地元の貴族との関係を築くことに注力しました。1415年のアジャンクールの戦いでは、当初父の命令で従軍を禁じられていたものの、その後の戦いを見据えた行動が彼の政治的判断力を示すものでした。

また、1455年から1456年までの流れでジョン・オブ・ベッドフォード公との対立が生じ、彼の軍事的立場が試されることとなります。しかし、1429年にはジャンヌ・ダルクがオルレアンを解放し、フランス軍が反攻を開始すると、フィリップ3世はフランス側に寄る決断を下しました。

フランスとの和解とネーデルラントの統治

1430年代に入り、フランス王シャルル7世との交渉が進展し、フィリップ3世はフランスとの友好関係を築くことに成功します。1435年、アラスの和約に調印し、フランス王家との和解が成立したことで、百年戦争におけるフランスの優位性を強化しました。同時に、彼はネーデルラント地域の支配を確立し、安定した統治を行いました。特に、金羊毛騎士団を創設し、騎士道文化の発展を促進させました。

晩年と死

晩年のフィリップ3世は外交活動を続ける一方で、指導力の衰えが目立つようになりました。1467年に70歳で死去し、息子シャルルがその後を継ぐことになります。彼の死は、百年戦争後期の展開において重要な転換点となり、ネーデルラントの発展に寄与したことは彼の評価に大いに関わるものとなりました。

フィリップ3世は、後の世代に対する多くの文化面でも影響を与え、特にフランドル派の絵画や音楽は彼の統治の下で盛んになりました。彼の業績と外交的手腕は、ヨーロッパの歴史の中で重要な役割を果たしました。

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