フィリピンの鉄道

フィリピンの鉄道

フィリピンの鉄道は、その歴史を19世紀末に遡ります。イギリス資本によって首都マニラ近郊に最初の路線が開業し、その後、ルソン島を中心に鉄道網が拡大しました。最盛期には、北はサンフェルナンド、南はレガスピまで、総延長約900kmの路線を有していました。軌間は日本の在来線と同じ1067mmの狭軌が採用されていました。

歴史と衰退

ルソン島だけでなく、ネグロス島、セブ島、レイテ島、パナイ島、ミンドロ島、ミンダナオ島などにも路線が建設され、砂糖黍輸送のための軽便鉄道や鉱山鉄道、森林鉄道なども存在しました。

しかし、太平洋戦争やモータリゼーションの発達により、鉄道は衰退の一途を辿ります。1983年にはパナイ鉄道が廃止され、中長距離の旅客輸送を行う鉄道はルソン島の国鉄線のみとなりました。

現在の運行状況

国鉄

フィリピン国鉄は、マニラからイロコス地方へ伸びる北方線と、ビコール地方へ伸びる南方線の2路線を有していました。しかし、1991年のピナトゥボ山噴火の影響で北方線は全線運休となり、現在運行しているのは南方線のみです。

現在、マニラ - ナガ間を結ぶ夜行列車「ビコール・エクスプレス」が1日1往復運行されている他、マニラ近郊では通勤列車「メトロ・コミューター」が1日18往復、ビコール地方では通勤列車「ビコール・コミューター」が運行されています。

都市鉄道

首都マニラでは、ODAによって都市鉄道であるマニラ・ライトレール・トランジット・システム（LRT）およびマニラ・メトロレール（MRT）が整備され、1984年に最初の路線が開業しました。

現在、LRTが1路線、MRTが2路線の計3路線が運行しています。これらの路線は近代的な設備を備えており、治安も比較的良いとされています。軌間は1435mmの標準軌が採用され、日本や韓国などで製造された新車が使用されています。また、女性専用車両も設けられています。

改札では簡単なセキュリティチェックが行われ、構内での写真撮影は禁止されています。

今後の計画

建設中の路線

南北通勤[鉄道]：ルソン島を南北に縦断する全長148kmの鉄道路線。2021年にトゥトゥバンからマロロス間が部分開業、2025年に全線開通を予定。
LRT-1号線南方延伸：LRT-1線をパサイのバクララン駅からカヴィテ州バコールのニオグ駅まで延伸。2021年までに一部開通を目指す。
MRT-2号線東西延伸：MRT-2線を東部に4km、西部に3km延伸。東側は建設中で、西側は2021年に着工予定。
MRT-7線：ブラカン州サン・ホセ・デル・モンテからケソン市のノース・アベニューを結ぶ全長22.8km、14駅の路線。
マニラ首都圏地下鉄：ヴァレンズエラからパサイまでを結ぶ全長36kmの地下鉄。キリノ・ハイウェイ駅からFTI駅までの区間で15駅が計画されている。

計画中の路線

自動案内軌条式旅客輸送(AGT)システム：フィリピン科学技術省が国際設計・製造のAGTシステムの開発計画を推進。
モノレール：
バギオモノレール
ダバオ・ピープル・ムーバー（ダバオ市）
イロイロモノレール
MRT-4号線（マニラからリサール市）
ライトレール：
LRT-6号線（カビテ市）
セブライトレール交通網（セブ都市圏）
ヘビーレール：
マカティ地下鉄 (LRT-5号線)
都市間鉄道:
PNR南部長距離計画 (旧南方本線と支線のバタンガス市までの再建)
ミンダナオ鉄道 (ミンダナオ島)
貨物鉄道:
スービック-クラーク鉄道
マニラ-ラグナ貨物輸送再開

注釈

関連項目：
クラーク経済特別区
マヨン山
フィリピン国鉄
マニラ・ライトレール・トランジット・システム
マニラ・メトロレール


フィリピンの鉄道は、過去の歴史や現在の状況を踏まえ、今後の発展が期待されています。特に都市鉄道網の拡充は、首都圏の交通渋滞緩和に大きく貢献するものと期待されます。

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