フィリピン航空137便オーバーラン事故

フィリピン航空137便オーバーラン事故

フィリピン航空137便オーバーラン事故は、ニノイ・アキノ国際空港からバコロドシティ国内空港へ向かう定期便、フィリピン航空137便が、バコロドシティ国内空港でオーバーランした事故です。

事故機

事故機は、エアバスA320-214（機体番号RP-C3222）でした。この機体は事故のわずか3ヶ月前に導入されたばかりの新しい機体でしたが、事故によって全損となりました。

事故の経緯

137便は午後6時40分にマニラを離陸し、午後7時37分にバコロドシティ国内空港の滑走路04への着陸許可を得て着陸進入しました。この進入はオートスロットルがスピードモードの状態で実施されました。

着陸時、機体の左側にある第1エンジンのスロットルレバーが上昇推力の位置にありました。機体が着地した際、第2エンジンのスロットルは逆噴射位置に入れられましたが、第1エンジンのスロットルはアイドル位置に戻されず、上昇推力の位置のままでした。副操縦士はスポイラーと逆噴射装置が作動せず、減速していないと報告しました。

エンジン1基が逆噴射位置、もう1基が上昇推力位置にあったため、スポイラーは作動しませんでした。第2エンジンが逆噴射に設定されたことでオートスロットルは解除されましたが、第1エンジンのスロットルレバーが上昇推力の位置にあったため、オートスロットルの解除によって推力が上昇し始めました。この非対称な推力によって機体が右方向に逸脱し始めたため、パイロットはラダーなどを使い、機体を滑走路上に留めようと試みましたが、速度が出ていたため、ラダーや前輪のステアリングは効果を発揮せず、機体は空港の外周フェンスを突き破って停止しました。

ラダーペダルからの操作では前輪の舵角は6度に制限されており、70ノット (130 km/h) 以上の速度ではハンドステアリングは無効となります。事故後に発生した火災は、バコロド市消防団の協力と、空港の事故火災救助チームの迅速な対応によって鎮火されました。乗員乗客は全員無事でしたが、居住地域にいた3名が死亡しました。

事故原因

事故原因は、着陸時にエンジンを正常に逆噴射状態にしなかったことに起因します。これにより、スラストリバーサーやスポイラーの動作に影響が生じました。パイロットは誤りに気づき、両エンジンを逆噴射させブレーキもかけましたが、既に手遅れで機体はオーバーランに至りました。

類似した事故

TAM航空3054便オーバーラン事故：この事故の9年後に同型機で発生したほぼ同様の事故。この事故では137便の事故よりもさらに悲惨な結果となり、乗員乗客全員と地上の12人を含む199人が死亡しました。
トランスアジア航空536便：2004年10月18日に同様の状況で事故を起こしています。

この事故は、航空機の操縦におけるわずかなミスが、いかに重大な事故につながるかを物語っています。また、事故後の迅速な対応が、被害を最小限に食い止める上で重要であることを示しています。

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