TAM航空3054便オーバーラン事故

TAM航空3054便オーバーラン事故

概要

TAM航空3054便オーバーラン事故は、2007年7月17日にブラジルのサンパウロ市のコンゴーニャス空港で発生した壊滅的な航空事故です。この事故は、サルガド・フィーリョ国際空港からサンパウロのコンゴーニャス空港に向かうTAM航空3054便（エアバスA320-233）が、着陸後に滑走路をオーバーランし、近くのガソリンスタンドに衝突して炎上したものです。この事故は南アメリカで最も多くの命を奪った航空事故となり、乗客180名と乗員6名を含む209人の人命が失われました。

事故の詳細

3054便は、サンパウロへ向けて出発し、17時19分にポルト・アレグレの空港を離陸しました。18時54分にサンパウロに到着した際、悪天候の中で運航されており、着陸直後に左に逸れてオーバーランを起こしました。その後、滑走路から外れ、空港敷地の外に突っ込み、道路を横切ってTAM航空の貨物施設やガソリンスタンドに衝突しました。この事故で約199人が死亡し、地上にいたTAM航空のスタッフも含む数名が負傷しました。ブラジル大統領は事故の後、国全体で3日間の喪に服することを宣言しました。

事故の原因

事故調査の結果、滑走路の排水不良とパイロットによるエンジン操作の誤りが主な要因であることが判明しました。事故当日、3054便は第2エンジンの逆噴射装置が機能不全の状態で運航されており、これにより着陸時の制動力が不足していました。特に、機長は右エンジンのスロットルを適切に操作せず、そのため着陸後に自動スロットルが誤動作しました。

調査では、操縦士が片方の逆噴射装置が機能しない状態での以前の手順を誤って実行した可能性が示唆されました。こうした操作ミスが、着陸時の制動力不足を招いたことが想定されており、そのためスロットルが適切に動作せず、ブレーキ機能も失われてしまったのです。

事故の背景

コンゴーニャス空港では過去にもオーバーラン事故や墜落事故が頻発しており、安全性への懸念が高まっていました。さらに、滑走路の長さは大型機にとっては不十分であり、周辺へのアクセスが難しい立地条件から、拡張工事ができない状況にありました。加えて、この空港は水はけが悪いことで知られており、事故の前日にも降雨時の着陸が異常をきたしていました。

2007年2月には、特定の航空機に対して運航停止命令が出されましたが、航空会社による異議申し立てにより、その命令は取り消されていました。経済的な影響を度外視することができない現実が、航空安全の維持を困難にしていると考えられています。

結論

TAM航空3054便オーバーラン事故は多くの命を奪った悲劇的な出来事であり、航空業界での安全性の重要性を再確認させるものでした。この事故を受けて、空港の安全管理や、航空機の運航基準についてさらなる見直しが求められるようになりました。

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