フィルムが現存しない映画の一覧

現存しない映画フィルムについての考察

映画の歴史において、多くの作品が時間とともに失われてしまいました。本稿では、現存しない映画フィルムの状況を詳述し、何が原因でこうした作品が失われたのかを解説します。

フィルムの素材と火災

映画フィルムが初めて登場したのは1890年代であり、その後の数十年間、フィルムは主にニトロセルロースと呼ばれる可燃性の素材で作られていました。この素材は火に弱く、歴史の中でいくつかの大規模な火災が発生し、多くのフィルムが焼失しました。1924年のユニバーサル映画火災や、1937年のフォックスフィルム保管庫火災、さらに1967年のMGMフィルム保管庫火災などがその例です。これらの事故によって、多くの貴重な映画作品が失われました。

白黒映画とその扱い

特に白黒映画は、公開後に何らかの理由で価値がないと判断されることが多く、フィルムは銀像写真のエマルションを抽出するために焼却されるケースも存在しました。このような扱いは、まさにその作品が歴史の中で持つ価値を消失させることにつながります。

制作会社の倒産とフィルムの散逸

映画のフィルムが失われる要因として、制作会社の倒産があります。さらに、スタジオが映画を再製作する際に、初期版のフィルムを破棄することが一般的でした。特に初期のサイレント映画は、商業的な見込みが薄いとされ、フィルムが保管されることなく廃棄されてしまったのです。その結果、1950年以前に制作されたアメリカ映画の約半数、1929年以前に制作された映画の90%が失われたとする報告があります。

フィルム復元活動

映画のフィルム復元に尽力するNPO「フィルム・ファウンデーション」をはじめ、さまざまな団体が活動を行っています。マーティン・スコセッシが代表を務める同団体は、フィルムの復元を通じて失われた映画の価値を再発見しようとしています。ドイツのキネマテークでも同様に、サイレント映画の80%から90%が散逸していると考えられており、失われた映画のリストを保有しています。

サイレント映画の現状

アメリカ議会図書館の調査によると、サイレント映画全体の75%が現存しないことが明らかになりました。これにより、特にサイレント映画がいかに多くの作品が失われているかが浮き彫りになっています。

国際的な状況

映画フィルムの喪失はアメリカのみにとどまらず、世界各地でも同様の問題が見られます。例えば、日本の1910年代の映画は現存率がわずか0.2%に過ぎません。また、ミャンマーにおいては、気候や政治的環境の変化によって、白黒の劇映画が約12本程度しか残っていないとの調査結果もあります。

結論

フィルムの喪失は映画という芸術形態にとって大きな打撃です。今後、映画フィルムの保護や復元活動が進展することが、過去の作品を後世に残すためには不可欠であると言えるでしょう。

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