フィレッティーノ

フィレッティーノについて

フィレッティーノ（Filettino）は、イタリアのラツィオ州フロジノーネ県にある、450人程度の人口を持つ小さなコムーネです。かつては美しい自然に恵まれたリゾート地として知られていましたが、近年は人口減少が深刻な状況です。地元のアニエーネ川は、この地域の豊かな水源を形成しており、村のライフラインでもあります。近隣には主要都市アヴェッツァーノやローマが位置し、自然環境に囲まれた美しい地形が特徴です。

地理と隣接地域

フィレッティーノはフロジノーネ県の北西部に位置し、アヴェッツァーノから南西に約17キロ、県都フロジノーネから北方向に約28キロ、ローマからは東に約69キロの距離にあります。この地域は、周囲を山々に囲まれた美しい風景が広がり、コムーネ全体がアッペンニーノ・モンティ・シンブルイニ州立公園に属するため、自らの自然環境を大切にしていることがわかります。フィレッティーノはローマ県やラクイラ県と隣接しており、交通の便も良い地域です。

歴史的背景

この村は古代アエクイ族によって築かれましたが、時代を経て古代ローマの影響を受けるようになります。800年頃には、イスラム教徒の侵入からの避難所として利用され、1297年には教皇ボニファティウス8世の甥がこの地を支配下に置きました。その後、フィレッティーノはカエターニ家の支配を受け、1602年にはこの家の最後の当主が処刑され、教皇クレメンス8世が地域を管理することとなりました。1870年にはイタリア王国に編入され、近代の歴史が始まります。

現代のフィレッティーノ

特に注目すべきは2011年8月24日の出来事です。この日、フィレッティーノは「制憲議会」を召集し、「フィレッティーノ公国」としての独立を宣言しました。この公国は独自の通貨「フィオリート」を発行し、旧イタリア王家の子孫にも接触を試みました。この独立宣言は、当時の財政緊縮策に対する反発から生まれたものでした。村は、周辺地域との合併よりも文化や資源を守るために独立を選択したとされています。

村の顧問弁護士には元国会議員のカルロ・タオルミーナがつき、「公国」の摂政の役割を果たしました。彼の存在は、政界からのサポートを得るための鍵でもありました。しかし、2012年には新たに「首相」としてパスクアーレ・スクイティエリが就任したものの、同年に行われた村長選挙でフィレッティーノ公国の支持者が落選した後、独自の政府や通貨は自然消滅してしまいました。

社会と観光

フィレッティーノはスキーリゾートとして知られ、シーズン中には500人程度の観光客が訪れることもありました。しかし、近隣に大型スキー場がオープンし、観光客が激減してしまうという困難な状況に直面しています。この人口減少と観光客の減少は、村の過疎化をさらに加速させている要因となっており、住民の文化が消えてしまうことへの懸念も高まっています。

フィレッティーノは、歴史的背景や自然の美しさを誇る村でありながら、その独立の試みや過疎化の現状は、多くの人々に興味を引く話題となっています。そして、かつての栄光を取り戻すための新たな道を模索し続けています。

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