フェアウェル・トゥ・キングス

『フェアウェル・トゥ・キングス』は、カナダのプログレッシブ・ロックバンド、ラッシュが1977年に発表した5枚目のスタジオ・アルバムです。

概要

このアルバムは、ラッシュがそれまでのハードロック路線から、より複雑で技巧的なプログレッシブ・ロックへと移行する上で重要な作品とされています。全6曲から構成され、各楽曲は高度な演奏技術と哲学的な歌詞によって彩られています。アルバムタイトルは、第一次世界大戦の戦場となったフランスのソンム地方の村、オーヴィレールの村長がイギリス国王に言ったとされる言葉に由来しています。

収録曲

1. A Farewell to Kings: アルバムのタイトル曲であり、ラッシュの代表曲の一つ。ドラマティックな展開と、アレックス・ライフソンの印象的なギターリフが特徴です。
2. Xanadu: サミュエル・テイラー・コールリッジの未完の詩「クーブラ・カーン」にインスパイアされた楽曲。12分を超える大作で、シンセサイザーやパーカッションを多用した壮大なサウンドが展開されます。
3. Closer to the Heart: ラッシュの数少ないラジオヒット曲の一つ。親しみやすいメロディと、シンプルな歌詞が特徴です。
4. Cinderella Man: ロバート・フランクの映画『プルシアン・ブルー』に影響を受け、ゲディー・リーが作詞した珍しい楽曲。
5. Madrigal: 短いアコースティック・ナンバー。束の間の安らぎを与えてくれます。
6. Cygnus X-1 Book I: The Voyage: 10分を超える大作で、アルバムの最後を飾るにふさわしい壮大なスケールを持っています。SF的なテーマを扱い、ドラマティックな展開が聴きどころです。

パーソネル

ゲディー・リー (Geddy Lee) – ボーカル、ベース、12弦ギター、ミニモーグ、ベース・ペダル
アレックス・ライフソン (Alex Lifeson) – ギター、ベース・ペダル
ニール・パート (Neil Peart) – ドラム、グロッケンシュピール、ウィンドチャイム、ヴィブラスラップ、トライアングル、チューブラーベル、木魚
テリー・ブラウン (Terry Brown) – スポークン・ボーカル on "Cygnus X-1 Book I: The Voyage"

特徴

歌詞: ニール・パートの書く歌詞は、哲学、文学、SFなど多岐にわたるテーマを扱っています。社会に対する批判的な視点や、人間の内面的な葛藤を描いた歌詞は、多くのファンを魅了しています。
演奏: ゲディー・リーのハイトーンボーカルとベース、アレックス・ライフソンのテクニカルなギター、ニール・パートの正確かつ創造的なドラムは、ラッシュの音楽を特徴づける重要な要素です。各メンバーの高度な演奏技術は、プログレッシブ・ロックのファンを唸らせます。
構成: 各楽曲は、複雑な構成を持ち、ドラマティックな展開が特徴です。静と動、緩と急を巧みに組み合わせた構成は、聴き手を飽きさせません。

評価と影響

『フェアウェル・トゥ・キングス』は、ラッシュの代表作の一つとして高く評価されており、後のプログレッシブ・ロックバンドに大きな影響を与えました。ドリーム・シアターや、近年ではTool等、多くのバンドがラッシュからの影響を公言しています。

外部リンク

A Farewell To Kings - Discogs (発売一覧)

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