ゲディー・リー

ゲディー・リー：ラッシュを支える多才な音楽家

ゲディー・リー（本名：ゲイリー・リー・ウェインリブ）は、カナダを代表するプログレッシブ・ロックバンド、ラッシュの屋台骨を支えるボーカリスト兼ベーシストです。1953年7月29日生まれの彼は、その卓越した音楽的才能と個性的なプレイスタイルで、長年にわたり世界中の音楽ファンを魅了し続けています。

ラッシュへの加入と音楽性の確立

1968年、旧友アレックス・ライフソンの誘いを受け、ラッシュにベーシストとして加入。当初はジェフ・ジョーンズという人物が在籍していましたが、短期間でゲディーが後任となりました。彼の独特なプレイスタイルは、ザ・フーのジョン・エントウィッスルからの影響を受けつつも、独自の進化を遂げました。うねるようなベースライン、歪んだ高音、そして重低音を効かせたサウンドは、ラッシュの音楽に不可欠な要素となっています。

ゲディーはベースを1フィンガー奏法で弾き、爪を少し伸ばし気味にすることで独特のサウンドを生み出しています。また、トリオという最小編成の中で、ベース、ボーカル、キーボード、MIDIコントロールのフットペダルを操り、バンドのサウンドに奥行きと彩りを加えています。彼のハイトーンで伸びやかなボーカルも、ラッシュの音楽を特徴づける重要な要素の一つです。

愛用楽器とサウンドへのこだわり

ゲディーが愛用する楽器は時代とともに変化していますが、リッケンバッカー4001、スタインバーガー、ウォルなどを経て、1990年代からはフェンダー・ジャズベースをメインに使用しています。フェンダーからは彼のシグネイチャー・モデルも発売されており、彼のお気に入りの1972年製ジャズベースを再現したモデルは、多くのファンに愛されています。また、フェンダー・カスタムショップからは、彼のジャズベースの傷や錆び、汚れ、交換されたパーツまで忠実に再現した限定モデルも発売されました。弦はロトサウンドのステンレススティール製を使用し、アンプはORANGE製を愛用しています。

多岐にわたる活動と交友関係

ゲディーは、ラッシュとしての活動以外にも、ソロアルバム『マイ・フェイヴァリット・ヘッドエイク』を発表するなど、ソロアーティストとしても活躍しています。また、元読売ジャイアンツのウォーレン・クロマティが率いるバンド、クライムのアルバムにゲスト参加するなど、幅広い交友関係も持っています。プライベートでもクロマティと親交があり、来日時にはプロ野球の試合を観戦することもあるそうです。さらに、ベーシスト仲間のジェフ・バーリンの依頼で、ドラマーのニール・パートをジェフのアルバムに紹介したエピソードも残っています。

音楽史における評価

ローリング・ストーン誌が選んだ「史上最高のベーシスト50選」では第24位に選ばれるなど、ゲディー・リーは音楽史においても高い評価を受けています。彼の革新的なプレイスタイル、卓越した音楽的才能、そしてラッシュという偉大なバンドへの貢献は、今後も多くの音楽ファンに語り継がれていくことでしょう。

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