フェアポート・コンヴェンション

フェアポート・コンヴェンション：イギリス・フォークロックのパイオニア

フェアポート・コンヴェンションは、1967年にイングランドで結成されたフォークロックバンドです。初期はアメリカンフォークやシンガーソングライターの影響が色濃く、ボブ・ディランやジョニ・ミッチェルの楽曲を演奏していました。しかし、サンディ・デニーの加入を機に、イギリスの伝統音楽を取り入れ、独自のフォークロックサウンドを確立していきます。

輝ける軌跡：革新と悲劇

1968年のデビューアルバム発表後、バンドはアイランド・レコードと契約。サンディ・デニーは、その独特の歌声でバンドに新しい息吹をもたらしました。1969年には『ホワット・ウィー・ディド・オン・アワ・ホリデイズ』と『アンハーフブリッキング』を発表。これらのアルバムは、バンドの音楽的成長を鮮やかに示しています。『アンハーフブリッキング』では、伝統的なイギリス音楽の要素が強く打ち出され、イギリスのフォークロックの基礎を築くこととなりました。しかし、このアルバム発表直前、M1モーターウェイでの交通事故により、ドラマーのマーティン・ランブルとリチャード・トンプソンのガールフレンドが亡くなるという悲劇に見舞われます。

飛躍のアルバム『リージ・アンド・リーフ』

事故の悲しみを乗り越え、バンドは1969年に『リージ・アンド・リーフ』を発表します。このアルバムは、バンドの転換期を象徴する作品です。伝統的なイギリス民謡を現代的なロックアレンジで再解釈した楽曲の数々は、フォークロックの歴史に燦然と輝く一石を投じました。伝統的な楽曲とオリジナル楽曲が融合し、スウォーブリックのフィドルが楽曲に華を添えています。このアルバムは、イギリスのフォークロックシーンに新たな地平を開き、多くのミュージシャンに多大な影響を与えました。エレクトリック楽器と伝統音楽の融合は、後のフォークロック、そしてフォークパンクにも大きな影響を与えました。

メンバーチェンジと進化

『リージ・アンド・リーフ』の成功後、バンドはメンバーチェンジを繰り返します。アシュリー・ハッチングスやサンディ・デニーといった主要メンバーが脱退し、新たなメンバーが加わります。しかし、バンドは進化を続け、数々のアルバムを発表し続けます。1970年代には、アメリカ進出も試みましたが、成功とはなりませんでした。1978年にはサンディ・デニーが急逝。その死はバンドだけでなく、イギリスの音楽シーン全体に衝撃を与えました。その後もメンバーチェンジを繰り返しながら、バンドは活動を続け、1979年に解散します。

再結成とクロップレディ・フェスティバル

1985年、バンドは再結成します。オリジナルメンバーのニコル、ペッグ、マタックスを中心に、新たなメンバーを加え活動を再開。クロップレディ村で毎年開催されるフェアポート・クロップレディ・コンヴェンションは、バンドの活動を支える重要な存在となり、イギリス最大のフォークフェスティバルとして発展しました。現在も活動を続け、近年もアルバムをリリースし、ツアーを行っています。

フェアポート・コンヴェンションの遺産

主流での商業的成功は限定的でしたが、フェアポート・コンヴェンションはイギリスのフォークロック、ひいてはイギリスの音楽文化全体に計り知れない影響を与えました。『リージ・アンド・リーフ』は、BBCラジオ2のリスナー投票で「史上最も影響力のあるフォークアルバム」に選ばれるなど、その歴史的意義は広く認められています。元メンバーの中には、フォザリンゲイ、スティーライ・スパンなどの著名なグループを結成した者もおり、その影響力は現代の音楽シーンにも及んでいます。フェアポート・コンヴェンションは、イギリスフォークロックの歴史に燦然と輝く、不滅のバンドと言えるでしょう。

メンバー

現メンバー

サイモン・ニコル (Simon Nicol) - ギター、リードボーカル
デイヴ・ペッグ (Dave Pegg) - ベース、バックボーカル
リック・サンダース (Ric Sanders) - フィドル、キーボード
クリス・レスリー (Chris Leslie) - フィドル、マンドリン、ブズーキ、バックボーカル
デイヴ・マタックス (Dave Mattacks) - ドラム、キーボード、ベース

旧メンバー

アシュリー・ハッチングス (Ashley Hutchings) - ベース
イアン・マシューズ (Iain Matthews) - ボーカル
ジュディ・ダイブル (Judy Dyble) - ボーカル
ショーン・フラッター (Shaun Frater) - ドラムス
マーティン・ランブル (Martin Lamble) - ドラムス
リチャード・トンプソン (Richard Thompson) - ギター、ボーカル
サンディ・デニー (Sandy Denny) - ボーカル、ピアノ
デイヴ・スウォーブリック (David Swarbrick) - フィドル、マンドリン、ボーカル
その他多数

ディスコグラフィ

（アルバムリストは省略）

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