フェアリー バトル

バトル (Fairey Battle) の概要

バトルは、第二次世界大戦の初期にイギリスのフェアリー社が設計した爆撃機で、イギリス空軍によって運用されました。この機体の名は、イースト・サセックスに位置する都市バトルに由来しています。バトルは、戦争が始まった当初から実戦に参加していましたが、当時の技術水準においてはすでに旧式化していたため、1940年の後半からは次第に前線から退かざるを得ませんでした。その後は、練習機や標的曳航機としての役割を果たしました。

開発の背景

バトルは、ホーカー社製ハート軽爆撃機の後継機として開発されました。イギリス空軍が1933年4月に新しい軽爆撃機の仕様を策定し、それに基づいて整備作業が進められました。バトルは、イギリス空軍初の低翼単葉形式かつ引き込み式 landing gear（着陸装置）を採用した軽爆撃機として、近代化の一翼を担いました。

機体は、主翼の内翼部分に250ポンド (約110kg) の爆弾を4発搭載できる爆弾倉を有し、もしくは翼下のラックに500ポンド (約227kg) の爆弾を2発装着することが可能でした。また防御のため、右翼および後部席に各1丁、合計2丁の7.7mm機銃を装備していました。

バトルの試作機は1936年3月10日に完成し、数ヶ月後にはテストが終了しました。テスト結果が好評価だったため、イギリス空軍は655機を大量発注し、1937年3月から部隊配備を開始。その後、他の製造会社であるオースティン・モーター社も生産に加わり、開戦時には1000機以上が前線に展開されました。

戦闘での運用

開戦当初、バトルはフランスでの昼間強行視察任務に主に用いられ、ある程度の成果を上げました。特にイギリス機によってドイツ機を初めて撃墜したのもこの機体でした。しかし、その性能はすでに陳腐化しており、逆にドイツ機によるイギリス機撃墜第1号もバトルで記録されています。連日の損失が続いたため、9月末には偵察機としての運用は中止されました。

それでもより優れた軽爆撃機が開発中であったため、イギリス空軍は損害を覚悟で本機を爆撃機として使い続けました。1940年5月には、ドイツ軍の電撃戦を阻止するため、橋梁爆撃作戦に参加し、一定の戦略的成果を上げましたが、71機投入されたうち半数以上の40機が帰還できず、残りも大きな損傷を受けてしまいました。

運用の変遷

その後、バトルの部隊はイギリス本土へと後退し、沿岸攻撃などの任務に従事しましたが、最終的には練習機として転用されました。また、ブリストル社製のブレニム双発軽爆撃機に機種転換した部隊も存在しましたが、多くの機体が引き続き標的曳航機として訓練用途で活躍しました。これらの機体は終戦時まで様々な任務に従事し、多くがカナダに送られて、そちらでの訓練計画に貢献することとなりました。

諸元

• - 全長：15.87 m
• - 全幅：16.46 m
• - 全高：4.72 m
• - 翼面積：39.2 m²
• - 全備重量：4,895 kg
• - エンジン：ロールスロイス・マーリン Mk.5 1,030 hp × 1
• - 最大速度：388 km/h
• - 実用上昇限度：7,170 m
• - 航続距離：1,700 km
• - 武装：爆弾450kg、7.7mm機銃×1（固定）、7.7mm機銃×1（後部旋回）
• - 乗員：3名

現存する機体

バトルの現存機体も存在し、航空博物館などで見ることができます。これらの機体はその歴史と共に、多くの航空ファンや歴史愛好者に親しまれています。

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