フェアリー フルマー

フルマー (Fairey Fulmar)とは

フルマーは、イギリスのフェアリー社によって設計された艦上戦闘機であり、第二次世界大戦期間中にイギリス海軍で運用されました。この機体は特にその複座設計から「フルマー」という名が付けられており、フルマカモメを意味します。イギリス海軍が初めて導入した本格的な単葉機であったフルマーは、当時のイギリス海軍の複葉機の後継機として開発されたのです。

開発の背景

1930年代の中頃、イギリス海軍は空母をいち早く開発・建造していたにもかかわらず、その航空機の水準は国際的にはまだ不足していました。特に、海上での戦闘機の運用は複葉機、すなわちニムロッドやオスプレイのような古い機体が主流でした。そのため、1938年に新しい単葉戦闘機を必要とする仕様書O.8/38が策定され、フェアリー社が手がけていたバトル軽爆撃機を複座戦闘機に改修する提案が受け入れられました。これにより127機の生産が決定されたのです。

海上飛行においては、複座機の設計は航法を担当するパイロットが機体を適切に誘導し、空母に帰艦するために重要であると認識されていました。しかし、実際には単座機でも航法を習得した操縦者なら問題なく帰艦できることが、日本やアメリカの戦闘機によって証明されました。

フルマーの仕様

フルマーの設計には課題がありました。複座であることから機体が重くなり、エンジンの出力が不十分だったため、性能が制限されました。例えば、自重が3,960kgとハリケーンよりも重く、全備重量は4,850kgに達しました。このため、Mk.I型は最大速度が400km/hにも満たないという性能の低さが見受けられました。

運用実績

1940年に初飛行し、同年6月には第806飛行隊に配備されました。その後、エンジンの改良が施されたMk.II型が1941年に登場しましたが、複座設計による制約から、フルマーは早々に新型単座機に取って代わられる運命にありました。具体的には、シーファイアやシーハリケーン、アメリカ製のマートレットといった機体への置き換えが進められ、1943年には生産が終了しました。

フルマーは、1940年から1943年にかけて生産され、Mk.I型が250機、Mk.II型が350機の生産を記録しました。一部機体は夜間戦闘機型に改修され、また水上戦闘機としても1機が試作されましたが、実際には水上機化は行われませんでした。

戦果とその影響

フルマーは多くの海軍航空隊に配備され、地中海地域での軍事任務に従事しました。特にマルタ島への船団護衛や、タラント湾奇襲、マタパン岬沖海戦においては重要な役割を果たしました。しかし、前線任務を1943年から次第に交代させられ、最終的には1945年の着艦事故を最後にその運用は終了しました。

諸元

• - 乗員: 2名
• - 全長: 12.24 m
• - 最大速度: 398 km/h
• - 航続距離: 1,255 km
• - 武装: 7.7mm機銃8挺、250lb爆弾2発

フルマーはその特徴的な設計と歴史的意義から、今でも多くの航空ファンに愛される存在です。

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