フェイス・ザ・ミュージック

フェイス・ザ・ミュージック (Face the Music)

エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）が1975年に発表した5枚目のアルバム『フェイス・ザ・ミュージック』は、バンドにとって初のプラチナ・ディスクを獲得した記念すべき作品です。

レコーディングは、ドイツ・ミュンヘンのミュージックランド・スタジオにて、エンジニアのラインハルト・マックを迎えて行われました。このスタジオは、ELOがアメリカツアー中にディープ・パープルから紹介された場所であり、以後も使用されることになります。

メンバー構成にも変化があり、マイク・デ・アルバカーキとマイク・エドワーズに代わり、新たにベーシストのケリー・グロウカットとチェロ奏者のメルヴィン・ゲイルが加入しました。

前作『エルドラド』に収録された楽曲をめぐる訴訟の影響からか、このアルバムには逆回転メッセージが随所に盛り込まれています。また、アルバムタイトルである「Face The Music（音楽に立ち向かう）」からも、「音楽を率直に見つめる」というメッセージが込められていると解釈できます。

収録曲について

ファイアー・オン・ハイ (Fire On High)
インストゥルメンタルナンバーであり、シングルカットはされていないものの、ファンの間では非常に人気が高い楽曲です。冒頭には逆回転メッセージが挿入されており、逆再生すると「Music is reversible but time is not, turn back（音楽は可逆的だが、時間はそうではない。引き返せ）」というメッセージが聞こえます。
滝 (Waterfall)

イーヴィル・ウーマン (Evil Woman)
ELOの従来のサウンドにディスコの要素を取り入れた楽曲で、イギリスとアメリカで大ヒットを記録しました。
ナイトライダー (Nightrider)
ケリー・グロウカットがリードボーカルを務めた初めての楽曲です。コンサートでは、高音パートは彼が担当するのが常となっていました。また、「Nightrider」は、ジェフ・リンが初めて所属していたバンドの名前でもあります。
ポーカー (Poker)

ストレンジ・マジック (不思議な魔術) (Strange Magic)
ELO中期を代表する楽曲であり、フルオーケストラによるストリングス・アレンジが前面に押し出されています。
ダウン・ホーム・タウン (Down Home Town)
「滝」のサビのボーカルパートが逆再生され、楽曲の冒頭に挿入されています。歌詞カードには意味不明な注釈が記載されています。
夏の日 (One Summer Dream)
環境保護をテーマにした楽曲で、2001年のズーム・ツアーで演奏されました。

リマスター盤のボーナス・トラック

リマスター盤には、以下のボーナストラックが収録されています。

ファイア・オン・ハイ・イントロ（アーリー・オルタネイト・ミックス） (Fire On High Intro (Early Alternate Mix))
イーヴィル・ウーマン（ストリップト・ダウン・ミックス） (Evil Woman (stripped down mix))
ジェフ・リン曰く、「1975年のバージョンより良い」とのことです。
ストレンジ・マジック（不思議な魔術）（U.S.シングル・エディット） (Strange Magic (U.S.Single Edit))
滝（インストゥルメンタル・ミックス） (Waterfall (instrumental mix))

『フェイス・ザ・ミュージック』は、ELOの音楽性をさらに発展させ、新たなファン層を獲得することに成功した重要なアルバムと言えるでしょう。

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