フェイス・ミッション

フェイス・ミッション（信仰宣教団体）

「フェイス・ミッション」（Faith Mission）とは、キリスト教プロテスタントにおいて、特定の教派に属さず、信仰に重きを置いて宣教活動を行う団体のあり方を指す言葉です。しばしば「信仰宣教団体」と訳されており、主に欧米を源流とするこの運動は、神学的な立場として聖書の権威を重んじる保守的な福音主義を採用しています。フェイス・ミッションの理念の一つには、宣教活動や宣教師自身の生活に必要なすべてのものが、神への信仰と祈りを通して、信徒からの献金や自発的な寄付によって供給されることを信頼するという実践があります。

日本においても、このフェイス・ミッションの精神を受け継ぐ複数の宣教団体や教会グループが存在します。具体的には、ドイツに本部を置くリーベンゼラ宣教団の働きから発展した「リーベンゼラ・キリスト教会連合」、アメリカの極東福音クルセード（Far East Gospel Crusade）が母体となって形成された「日本新約教団」、TEAM（The Evangelical Alliance Mission）などの宣教師による開拓教会の集まりである「単立キリスト教会連盟」、そして国際福音宣教団（OMF International）の北海道での働きから生まれた「北海道福音教会協議会」などが、その代表的な例として挙げられます。これらの団体は、それぞれ独自の歴史と背景を持ちながらも、福音主義の立場から日本各地での伝道に献身してきました。

これらの国内団体の中から、リーベンゼラ・キリスト教会連合、日本新約教団、単立キリスト教会連盟の三者は、将来的な協力強化や合同の可能性を探るため、1968年（昭和43年）から継続的な話し合いを開始しました。この合同に向けた歩みは時間をかけて進展し、約18年後の1986年（昭和61年）には、完全な組織合同に先立つ中間的なステップとして、「キリスト教会中連合」が設立されました。これは、参加団体の独立性を尊重しつつ、より緊密な連携を図るための組織でした。

さらに、この合同の動きには北海道福音教会協議会も加わることとなり、四つの団体間での協議が深められました。その結果、キリスト教会中連合の発足から6年を経た1992年（平成4年）に、これらの団体は正式に統合を果たし、新たな全国規模の教会合同組織として「日本福音キリスト教会連合」（Japan Evangelical Christian Association, JECA）が誕生しました。日本福音キリスト教会連合は、フェイス・ミッションの理念を基盤の一つとして、今日まで日本の福音派教会の一員として活動を続けています。

このように、フェイス・ミッションという宣教形態は、日本におけるプロテスタント、特に福音派の発展において重要な役割を果たしてきました。海外からの宣教の波が、国内の多様な団体を生み出し、それらが協力・統合へと向かうプロセスを経て、現在の日本の教会形成に影響を与えていると言えるでしょう。

参考文献:

中村敏『日本における福音派の歴史』いのちのことば社、2000年
今橋朗、徳善義和『よくわかるキリスト教の教派』キリスト新聞社、1994年

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