フェデリコ・グラビーナ

ドン・フェデリコ・カルロス・グラビーナ・イ・ナポリの生涯

ドン・フェデリコ・カルロス・グラビーナ・イ・ナポリ（1756年8月12日 - 1806年3月9日）は、アメリカ独立戦争からナポレオン戦争にかけて活躍したスペインの海軍提督であり、特にトラファルガーの海戦での行動が知られています。

初期の経歴と軍歴

グラビーナはシチリアのパレルモに生まれ、名門家庭の一員として成長しました。彼の父は士族であり、母はナポリの貴族でした。12歳の頃、彼はおじの助けを借りてスペイン海軍に入隊し、ブラジルでフリゲート「サンタ・クララ」の候補生として勤務を開始しました。1777年にはラプラタ川でのボート事故を経験しましたが、幸運にも生還しました。

その後、彼はアルジェリアの海賊を討伐する任務に従事し、1780年代にはジブラルタルの包囲戦に参加。彼の指揮のもと、数々の戦果を上げ、その才能を発揮しました。1788年には、外交任務としてコンスタンティノープルを訪れ、大使の護衛を務めました。

戦略家としての台頭

1790年代に入ると、グラビーナは真の艦隊指揮官としての能力が期待され、ヌートカ危機では当時最も大規模なスペイン艦隊を組織しました。1793年にはトゥーロン攻囲戦に参加し、イギリス海軍の戦術を研究するためにポーツマスを訪問しました。

1796年、スペインはフランスと同盟を結び、グラビーナはこの新たな展開の中でますます重要な役割を担い、西インド諸島での任務にも関与しました。特に彼の功績は、戦争における戦略的視点と軍の指揮における能力にありました。

トラファルガーの海戦

1805年、グラビーナはナポレオンに指示され、イギリス艦隊をおびき出すためにカリブ海に出航しました。しかし、彼の艦隊はフィニステレ岬でイギリス艦隊に遭遇し、損失を被りました。その後、ナポレオンの命令でカディスに退避しましたが、準備が整いトラファルガー海戦に臨むこととなります。

海戦中、グラビーナの旗艦は複数のイギリス艦に攻撃され、彼自身も重傷を負いました。この時、彼は艦隊を立て直し、なんとかカディスに帰還を果たしました。この戦いによって彼は海軍元帥に昇進しましたが、負った傷は致命的でした。

最後の時

1806年3月9日、グラビーナは死去し、その死を惜しむ声が多く上がりました。彼は自らの死の間際に、ネルソンのような英雄に会えることを願っていると語ったと言われています。彼の死は、スペイン海軍にとって大きな損失とされ、「ジブラルタル・クロニクル」の記事では、その影響力と業績が称賛されました。

埋葬と遺産

グラビーナはカディスのマリノス・イルストゥレス大聖堂に埋葬されました。彼の生涯は、スペイン海軍の歴史の中でも重要な一章として記憶され、戦略的才能と忠誠心が高く評価されています。彼の名は、戦争の中での勇敢な指導者の一人として後世に語り継がれることとなります。

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