フェニックス エキスプレス

フェニックス エキスプレス（PHOENIX EXPRESS）

フェニックス エキスプレスは、1993年に三菱重工業の下関造船所で建造されたフェリーであり、当初は高千穂丸に代わって川崎と日向の京浜航路に就航しました。この船は、建造当時日本で最も速いカーフェリーとして知られ、航路の利便性を大いに向上させる役割を果たしました。

航路概要

フェニックス エキスプレスは、運航を開始した1993年以降、様々な航路を担当してきました。最初は川崎港から日向細島港への定期便が設定され、当初は毎日運航していました。その後、1994年に宮崎港が新たにターミナルとして追加され、日向・宮崎間の隔日運航が始まりました。

2002年になると、航路が拡張され、日向航路に那智勝浦港が、宮崎航路に高知港が加わりました。それに伴い、運航スケジュールも見直され、より多くの便が提供されるようになりました。しかし、2005年6月には経営が悪化し、京浜航路が一時休止となります。この船はその後、宮崎カーフェリーに転配され、貝塚港から宮崎港の航路に移ることになりました。

しかしながら、原油価格の上昇が影響し、2006年春にその運航も終了、最終的に本船は海外へ売却されることとなります。新たにイタリアのコルシカ・フェリーズに買収され、改名されてMEGA EXPRESS FIVEとなり、コルシカ島とフランスのトゥーロンやニースを結ぶ航路で新たな歴史を刻むことになりました。

船内の設備

フェニックス エキスプレスの船内は、エーゲ海をイメージしたデザインが施され、マリンブルーが基調の落ち着いた雰囲気を醸し出しています。Aデッキには特等室や展望サロン、レストランなどがあり、快適な空間での食事や休憩が可能でした。特に展望サロンからは、美しい海の景色を楽しむことができました。

また、Bデッキには多様な寝台が用意されており、運航中の長時間の移動でも快適に過ごせる工夫がされていました。ドライバー用の専用ルームや、ゲームコーナー、カードルームなどのアクティビティスペースも整っており、より多くの人々に楽しんでもらえるよう配慮されていました。

事故・インシデント

フェニックス エキスプレスは、運航中に1999年、灯浮標に衝突する事故を起こしています。この事件は、出航操船中の注意不足から生じたものであり、事故当時は多摩川口灯浮標に近づき過ぎたことで右舷船尾が接触しました。この事故は船舶操縦における重要な教訓となり、その後の安全運航の向上に寄与しました。

まとめ

フェニックス エキスプレスは、そのスピードと安全性から、多くの人々に利用されてきた重要なフェリーでした。経るべき試練を乗り越えた後も、現在は新たな名前で運航を続ける本船の歴史は、今も多くの人々に語り継がれています。

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