フェニックス〜HIROMI IN BUDOKAN〜

フェニックス〜HIROMI IN BUDOKAN〜：郷ひろみ武道館ライブの熱狂を凝縮

1978年、日本の音楽シーンを彩る人気アイドル歌手、郷ひろみ。彼の5枚目のライブアルバム『フェニックス〜HIROMI IN BUDOKAN〜』は、1978年4月1日、CBS・ソニーよりリリースされました。前作『ピラミッドひろみっど』から約4ヶ月、ライブアルバムとしては『ヒーロー』から約11ヶ月ぶりの作品で、多くのファンを魅了しました。

このアルバムに収録されているのは、1977年12月25日、日本武道館で開催された「HIROMI GO FINAL CONCERT IN BUDOKAN Fire & Higher」のライブ音源です。前作とは異なり、収録楽曲の約半数を郷ひろみ自身のオリジナル曲が占めています。彼の音楽的成長と幅広さを示す、重要な作品と言えるでしょう。

演奏面では、豪華なバックバンドが郷ひろみを支えています。三原綱木率いるスーパー・ジェッツの力強い演奏と、服部克久率いるストリングスの繊細な調べが、楽曲に深みと華やかさを与えています。音楽監督は服部克久と三原綱木という、当時第一線で活躍していた二人の巨匠が務め、音楽的完成度の高さは聴く者を圧倒します。

収録曲は、郷ひろみの代表曲に加え、カバー曲も収録されており、彼の音楽性多様さを示しています。アップテンポで躍動感あふれるナンバーから、しっとりと聴かせるバラードまで、バラエティに富んだ楽曲が並んでいます。特に、ウイングスの名曲「恋することのもどかしさ」や、サンタ・エスメラルダの「サンタ・エスメラルダ」、葵てるよしの「愛がこわい」といったカバー曲は、郷ひろみ独特の解釈で新たな魅力を放っています。

具体的に収録曲を見てみると、「真夜中のヒーロー」「愛という薬がほしい」「MIND反比例」「悲しき願い」「禁猟区」「洪水の前」「悲しきメモリー」「男の子女の子」「小さな体験」「裸のビーナス」「花とみつばち」といったオリジナル曲が中心に並びます。そして、それらオリジナル曲と絶妙に織り交ぜられる形でカバー曲が配置されている点が、このアルバムの大きな特徴です。これらの楽曲一つ一つが、当時の郷ひろみの音楽性を鮮やかに反映しており、彼の才能の多様性を感じさせるものとなっています。

『フェニックス〜HIROMI IN BUDOKAN〜』は、単なるライブアルバムという枠を超え、郷ひろみのアーティストとしての魅力を余すことなく伝えている作品です。日本武道館という特別な場所で繰り広げられた、熱気と興奮に満ちたライブの臨場感を、今でも鮮やかに蘇らせてくれます。当時の音楽シーンを知る者にとっても、郷ひろみを知る上での重要な資料となるでしょう。そして、新しい世代のリスナーにとっても、その圧倒的な歌唱力と音楽的魅力に触れることができる貴重な作品と言えるでしょう。豪華なバックバンドとの協演、そして、選曲のバランス、どれをとっても高い完成度を誇る、まさに郷ひろみ黄金期の代表作と言えるでしょう。

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